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東京地裁の勾留却下率は いつの間にか 8 % 超 [検討]

平成26年6月15日のブログで、

さいたま地裁の勾留却下率が急上昇していて、却下率が10%超 になっている

と報じた朝日新聞デジタルの記事を取り上げました。 

続報もなく 記事も1年半ほどで 跡形もなく消えてしまったので、椿事が突発的に起きたのだろうと思っていたところ、昨年(2016年)10月31日の産経WESTの記事「勾留請求却下率低い大阪  弁護士『いまだに人質司法』、検察『請求厳選した結果』」を見つけ、読んでみて 驚きました。

記事は、大阪地裁の勾留却下率が全国平均以下だという どうというものでも内容のものでしたが、記事に添えられた グラフの内容がすごい。

下のグラフがそれで、平成17年(2005年)から平成27年(2015年)までの11年間における、 東京、大阪、名古屋、福岡、仙台 の地裁(簡裁?)での勾留却下率をグラフ化したものです。

 

グラフは、   

東京での勾留請求の却下率は 平成17年(2005年)以降、全国平均の ほぼ倍 を常に保っている。

平成17年の1.5% が 平成22年には 4%に達し、平成24年には6%、それが 平成27年には 約 8.5% になっていること 

を示してます。 

 「勾留請求却下率低い大阪」 産経WEST20161031.jpeg

 

東京では そんなことになっていることを全く知りませんでした。 

司法統計年報では  全地裁、全簡裁の 勾留の発付数、却下数の統計しか掲載されていないため、各地の状況は分かりません(司法統計年報刑事編 平成27年「第15表 令状事件の結果区分及び令状の種類別既済人数-全裁判所及び全口頭・地方・簡易裁判所」参照)。

記事のグラフには「※ 最高裁の資料を基に作成」と書かれていますが、資料とは内部資料なのでしょうか。

グラフには「勾留請求の却下率(地裁・簡裁)」との標題が付けられていますが、勾留却下率について (地裁・簡裁)っていうのは どういうことを表しているのでしょう。

勾留却下率については、前掲の平成27年の司法統計年報を使って、全地裁での勾留却下率と、全簡裁での勾留却下率を計算が可能です。

勾留却下率は、 勾留状の却下の件数 ÷ (勾留状の発付(請求によるもの)の件数+却下の件数)×100 と計算できるので、地裁と簡裁 の勾留却下率を算出して見ると、

全地裁   6.27 % (≒2,838件÷(42,441件+2,838件))

全簡裁   1.49 % (≒1,051件÷(69,547件+1,051件))

全地裁・全簡裁合計

          3.36 % (≒(2,838件+1,051件)÷((42,441件+2,838件)+(69,547件+1,051件)) 

ということになります。簡裁の勾留却下率を勘案すると、勾留却下率は下がってしまうことが分かります。

なので、簡裁での勾留却下率を勘案していることを示す、「勾留請求の却下率(地裁・簡裁)」の標記をグラフにしている産経WEST の記事が信用できるものであるかについて疑問が生じてしまいました。 

 

関連したデータがないかグーグル検察したところ、少し古いですが、毎日新聞の2015年12月14日の 「東京地裁 : 痴漢で勾留、原則認めず 『解雇のおそれ』考慮」という記事を見つけました。 

記事では、次の具体的なデータが掲載されていました。 

2005年の東京地裁の勾留請求の却下は 389 件 (却下率1・5%)で、全国の却下件数の 5 割強を占めていた。14年には 約 3倍の 1171件 (7・8%)に増加したが、全国に占める割合は 4 割弱に低下しており、却下の動きが地方にも広がっているとみられる。

 

記事は、東京地裁における勾留却下率が 2005年(平成17年)は 1.5 %、2014年(平成26年)は 7.8 % ということなので、 産経WESTのグラフの「東京」の折れ線に、それらの数値をプロットしてみまと、矛盾はありません。 

産経WESTが 東京地裁の勾留却下率を示しているのだと善解してあげれば、記事が間違いとまでは言えません。

グラフの標題を (地裁) とすべきところ、(地裁・簡裁) と間違えちゃったということなのでしょう。 

 

話は変わりますが、東京地裁では痴漢は勾留しない 運用にした なんてのもすごいですね。

こんなことになっているなんて 皆さんご存じでしたか。


保釈率は やっとこさ 半分戻し [検討]

地裁における 勾留された被告人員 と 保釈率の1949年(昭和24年)から2015年(平成27年)までのデータを簡単に見つけることができたので、それを使い作表してみました。 
 
前回のブログ(2016年9月8日「保釈率10年で倍増」)の記事やグラフでは、簡裁を第一審とする刑事通常第一審事件における、簡裁での勾留状発布者人員と保釈許可人員を含んでいますが、今回のグラフやデータは簡裁分のそれを含んでいません。
 
そのため、例えば、平成17年の勾留中であった被告人の人員は、地裁分に簡裁分を含めると 8万2798人なのですが、簡裁分を含めないと 7万1552人 と開きが生じています。
   
とは言っても、大掴みの傾向として違いはないはずです。 
 
 
 勾留被告人員と保釈率年次推移(1949-2015).jpg
  
      
前回の記事は 表右側の 破線部分の期間を 記事の題材としていたと言えますが、
   
 
昭和24年(1949年)からの全期間の傾向からすれば、「保釈率は半分戻しとなった」というところでしょうか。 
 
 

続きを読む


野畑証券の概況 [検討]

岡崎市の 野畑証券  という地場の証券会社が、 

メディケアインベストメント社発行のレセプト債を 59億円も販売していたことになります。

 

私は同じ愛知県に住んでいますが、野畑証券という名前など聞いたことがありませんでした。

今回、インターネットで確認してみたところ、野畑証券のホームページは当然ありましたが、今回の件のリリースが掲載されていますが、ありきたりのものに過ぎません(6月17日付「当社に対する東海財務局長からの業務停止命令及び業務改善命令について」)。

登記情報で確認してみると、代表取締役であった野畑裕司氏は昨年11月25日に取締役を辞任していて、同日に野畑響平氏が取締役及び代表取締役に就任していますが、野畑証券のホームページには何も掲載されていませんので、半年以上、ホームページは更新されていないようです。 

 

野畑証券は、新卒の求人のため、マイナビを使っていることが分かりましたので、マイナビでどのような求人広告をしているのかを見てみました(野畑証券(株)/新卒採用) 。

マイナビの情報は今月6月13日に更新されたものですが、そこに整理されている、野畑証券の会社の概況は、   

売上高 5億4,200万円(2014年3月期)  

従業員 39人

募集人数 1~5人

採用実績  2013年、2014年、2015年 各2名

             2016年 2名(予定) 

ということになるようです。

 

「売上高」が、たったの5億円なのかと思われたかも知れませんが、従業員39人で5億円以上 売り上げているわけで なかなかのものではないかと思います。

例えば、ユーレットの「業績ランキングから上場企業を探す」を使って、上場証券会社の売上高ランキングを見ることが可能ですが、上場証券会社の中には、売上高 5億4,200万円にも満たないところもあったりします。       

野畑証券は業績が悪くないどころか、ここ何年かは、毎年2名ずつ、新卒の採用をしているわけで、むしろ よかったのだと思います。

 

野畑裕司前社長は、マイナビのインタビュー記事の中で、自信ありげに、

「 弊社の場合、その対策のひとつが『独自性を備えた金融商品及びサービスの組成』です。

事業エリアである三河地域の顧客特性として資産運用に対して保守的な方が多く、ハイリスク商品よりも安定して分配金がもらえる元本の安全性が高い商品が好まれる傾向にあります。

しかし、低金利の時代にそうした既製商品・サービスはありませんでした。

そこで、私募債という形で投資金額を小額に留めた弊社オリジナルの金融商品を組成。現在では利益の半分程度を占めるまでに成長した、重要な収入源となっています。」

と、私募債を使ったオリジナルの金融商品を組成し、販売したことが、売上に繋がっていると述べられています。

 

ここに出てくる 「私募債」が、おそらく、 販売残高が約59億円と積み上がっている、「ナーシングケア債」というメディケアインベストメント社発行のレセプト債のことなのだと思われます。、 

「利益の半分程度占めるまでに成長した、重要な収入源となっている」ということですが、   

野畑証券の2014年3月期の売上高は 5億4,200万円なので、その半分は 2億7100万円。

単年度の手数料売上として 2億7100万円を売り上げるために、どれだけの額の 私募債を募集したのか知りたいところですが、それはどこにも出てきません。 

 

レセプト債に のめり込んでしまった野畑証券は、今後、撤退を余儀なくされることでしょうが、前途多難なことでしょう。

 


抗争を助長する工事は暴排条例違反 [検討]

愛知県公安委員会が、今月8日までに、愛知県内在住の指定暴力団の会長と組長、名古屋市内の建築会社の3者に対して、愛知県暴力団排除条例に基づいて、抗争を助長する工事をしないよう勧告をしたとのことです(朝日新聞DIGITAL2016年6月9日「窓に鉄板… 抗争助長の工事はダメ  神戸山口組系らに勧告」)。

抗争を助長する工事とされたのは、

建築会社が昨年9月、組事務所のスチールの窓を 鉄板20枚で補強したり、監視用カメラーとモニター一式の取り付け工事のことで、

このような暴力団の抗争対策工事に対する勧告は全国初だということだそうです。 

 

愛知県暴力団排除条例では、第14条(利益の供与等の禁止)において、

事業者が、情を知って、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる利益の供与をすること(第1項)、

暴力団員が情を知って、事業者から前項の利益の供与を受けること(第2項)

をぞれぞれ禁止しています。この規定に該当したということになります。

 

愛知県暴力団排除条例についての Q&A集らしきものは見当たりませんが、警視庁のホームページの「東京都暴力団排除条例」Q&A がありました。

「東京都暴力排除条例」Q&A のQ13 では、どのような行為が「暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することになる利益の供与」となるかを例示していますが、そこには、まさに愛知県公安委員会が勧告を出した、

・ 内装業者が、暴力団事務所であることを認識した上で、対立抗争に備えて壁に鉄板を補強するなどの工事を行う行為

も例示として挙げられています。 対立抗争に備えた工事を行う場合、それが 「利益供与」になるのは、とてもよく腑に落ちます。

 

反対に、「東京都暴力排除条例」Q&AのQ13では、事業者が利益供与違反にならないケースも挙げられていますが、その例示の中に、

・ 建築物等の維持保全など、適法な状態を保つために、暴力団事務所の工事を行う工事 

というものも挙げられています。 単に、建物の維持保全のための工事であれば、「利益供与」とはならないとの判断が、ここでは示していることになるようです。

 

さらに見ていくと、「利益供与」に当たるケースの中には、

・  警備会社が、暴力団事務所であることを知った上で、その警備サービスを提供する行為

が挙げられていますが、「建築物の保全維持のための工事」が利益供与にならないのであれば、防犯のためのセキュリティさーサービスも同じではないのかと思いますが、どうなのでしょう。

 

今回、工事の発注側の会長と組長 、受注側の建設業者の3者は、愛知県公安委員会が出した勧告に従うそうですが、もし、事業者らが勧告を無視した場合には どのようなことになっていくのでしょうか。

 

愛知県暴力団排除条例第26条第1項を見てみると、氏名又は名称及び住所が公表されることとなるようではありますが、そこまでです。

勧告に従わないことについて罰則規定はないため、いくら勧告に従わなかったとしても 罰則まで課されることということになります(同条例第29条、第30条)。 

 

しかし、事業者の場合、氏名を公表されることにでもなれば、取引先から取引を切られてしまい、廃業の憂き目を見ないといけないことになります。事業者には勧告に従わずに氏名を公表することを受け入れるなどとの選択などありえまん。

氏名の公表という不利益処分がありうるというだけで、業者への抑止効果としては十分で、罰則まではいらないということなのでしょうか。


浮気相手への探偵費用の請求、裁判所は認めるか ? [検討]

沢木文氏著「不倫女子のリアル」(小学館新書)を読んでいたら、「第6章 探偵は見た!」中に、

「ちなみに、浮気調査の場合、1日で証拠が押さえられれば、費用は内容により 10万~30万円程度、平均 3~5 日間の調査を行う。これを対価とみるか、安いとみるか。

「浮気の調査報告書を、不倫をしている夫に突きつけたら、不倫相手と清算して、妻のところに戻ってきたというケースもあります」

元の鞘に収まって、めでたしめでたしというのであれば、そのくらいの費用は決して高くないのかもしれない。

さらに、あまり知られていないが、浮気相手に慰謝料を請求する場合、探偵費用も別途 請求できる。

女性にとって泣き寝入りやスルーは禁物、打てる手は打ち、自分の人生に有利な" 武器 "は集めておくべきというわけだ。逆に、夫が品行方正で妻が奔放な場合、夫も妻の浮気の証拠を集めておくべきということになる。(178頁)

という記述がありました。 

 

浮気調査の費用の金額については どうとも思いませんでしたが、

いつの間にか、探偵費用を裁判所が損害として認めてくれることになったかのようなことが書かれています。

「浮気調査の探偵費用なんて、裁判所が相当因果関係がある損害だなんて認めてくれるわけない」というのが私のこれまでの理解でしたので、知識の詰め込み直しをしなければいけません。

 Westlaw.JAPAN で裁判例がどの程度あるのか、検索してみました。

 

「探偵費用」「探偵事務所費用」をキーワードとして検索してみたところ、

不貞の慰謝料200万円のほかに、探偵社に支払った調査費用125万7605円のうち100万円分の調査費用を相当因果関係にあると認めた東京地裁平成20年12月26日判決があるのを見つけました。

それだけでなく、私は確認漏れをしていましたが、その他に、探偵事務所に支払った調査料16万9290円を損害と認めた東京地裁平成22年7月28日判決というものもあるようです(「FPベンゴシによる不倫に 関するQ&A 」というサイトの「探偵費用を請求したい」の解説を参照ください。)。

 

しかし、探偵費用に支払って調査費用を、相当因果関係にある損害と認めている裁判例は、それらくらいしか見当たりません。

やはり、大勢としては旧来と変わらず、「認めない」ということに変わりはない模様です。

人騒がせな記述に振り回されましたが、勉強にはなりました。

 


不倫女子のリアル (小学館新書)

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  • 作者: 沢木 文
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/06/01
  • メディア: 単行本

 


年間 5 匹も、ウナギを食べていた記憶 [検討]

筒井功氏著「ウナギと日本人」を読んでいたところ、 

「平成12年、13年頃、日本人一人当たり 5匹のうなぎを食べていたことになる」
    
という記述がありましたが、データが示されていなかったため、真偽を確かめる機会がありませんでした。
     
    
そうしたところ、前々回のブログでも触れましたが、水産庁が先月5月に公表している「ウナギをめぐる状況と対策について」の、5頁にある「我が国におけるウナギ供給量の推移」に、ウナギの国内供給量の数値が示されていることが分かりました。
   
下表はそれをそのまま引用したものとなります。 
   
 
 ウナギの供給量.jpg
   
      
                      
ウナギの供給量のピークは平成12年(2000年)だったということですが、当時のウナギの供給量は 15万8094 トンだったということです。
       
ウナギの一匹の重さが分かれば、15万8094トンが ウナギ何匹に相当するかを計算することが可能となりますが、
        
ウナギ一匹の重さは 200グラム 相当であるようです(ウナギネット「うなぎサイズ規格」参照)。
        
ということですので、平成12年のウナギ供給量の15万8094トンは、ウナギ 7億9547万匹(=159,094,000,000g/200g)に相当することになります。
  
日本の人口は平成12年は1億2692万5843人でした(総務省統計局HP「1 人口総数 平成12年国政調査」)。
 
したがって、7億9547万匹/1億2692万5843人≒ 6.27 匹。
   
 
この結果からすると、日本人は 年間5 匹のウナギを食べていたことは間違いではないことになります。
  
むしろ 「6匹食べていた」というべきなのでしょうが、なぜ5匹なのでしょうか。
  
 
そんなに食べてた記憶などありませんが、もしかすると、居酒屋で食べていたかも知れない、突き出しとして出されていた「うまき」や「うざく」が それだったのではないのかいう気がしてきました。
       
  
では、最近は何匹ぐらいウナギを食べているのでしょう。
  
ウナギ供給量の平成27年概算値は 5万1139トン、平成27年の人口は約1億2700万人なので、
  
(51139×1000×1000g ÷ 200g)÷ 12700×10000 =
51139÷200÷127=51139/25200
  
なので 年 2匹 と推計できます。
  
こちらの数であれば 体感に合います。

         
     

ウナギと日本人: “白いダイヤ”のむかしと今

ウナギと日本人: “白いダイヤ”のむかしと今

  • 作者: 筒井 功
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2014/06/13
  • メディア: 単行本


ニホンウナギ、太平洋クロマグロへの規制見送り [検討]

今年9月に、3年ぶりに南アフリカで開催される ワシントン条約締約国会議での、太平洋クロマグロ と ニホンウナギ への規制が見送られることになったということだそうです(日本経済新聞2016年5月2日「ニホンウナギ貿易規制は見送り  ワシントン条約締約国会議」、2016年5月29日わかりやすい時事解説「ウナギ、クロマグロの規制案が見送られた理由 編集委員 志田富雄」)。

とは言うものの、太平洋クロマグロにせよ、ニホンウナギにせよ、資源が激減しているわけなので 近い将来、規制が加えられるであろうことは間違いないものと予想されます。

それぞれの水産資源の現状ですが、まずクロマグロについてですが、水産庁が今年1月に公表している 「かつお・まぐろ類に関する国際情勢について」が大変わかりやすく現状を説明してくれています。

それを要約すると、 

・ 日本国内における 2014年の まぐろとかつおの供給量は 66.7万トンで、そのうち、クロマグロの供給量は 4.24万トン(7頁)。  

・ クロマグロの供給量4.24 万トンのうち、輸入は 1.65万トン、国内生産量は 2.59万トン。また、国内生産量2.59万トンのうち、1.47万トンは養殖となっていて、国内漁獲量 0.98万トンよりも多くなっている(9頁)。  

ということになります(下図は「かつお・まぐろの国際情勢について」9頁をまるまる引用したものとなります)。

希少なクロマグロでは 養殖に力が入れられていて、 規制されても、養殖による代替が期待できそうな感想を持ちました。

 クロマグロ供給量.jpg

次は、ニホンウナギの方の現状についてです。

同じく水産庁が、「 ウナギをめぐる状況と対策について」という資料を今月公表しています。それにはいろいろな説明がされていますが、「ワシントン条約締結国会合で規制が決まっても、ウナギを食べることはできるのだろうか」という不安を打ち消すような内容とはなっていません。

 

養殖が決め手となりそうで、平成22年に シラスウナギの完全養殖に成功したということではあるそうですが、今もって、実証試験中の段階だということで、クロマグロのような成果は出ていないようです。

 

THE PAGEの今年3月9日の「ウナギ完全養殖の実験成功から6年、いまだ市場に出回らない理由とは」によると、

ウナギの場合、卵から稚魚に育つまでに半年ないし1年半もかかるそうです。それだけでなく、従来技術があまり応用できないため、新たに独自の養殖技術を確立していく必要があるそうで、そのため多大な時間を要している

ということだそうで、完全養殖まで 途半ば のようです。

 

現状のままだと、ウナギの蒲焼の方が、食べられなくなってしまう おそれが大きいようです。 


労働分配率 [検討]

団体交渉の際、会社の「労働分配率」が、低いことが指摘されることがありますが、

労働分配率は「 人件費 / 付加価値 」 によって 計算されるため、分子である「人件費」が大きい、また、分母の「付加価値」が小さいのであれば、労働分配率は高い数値となります。

そのことからも分かることですが、実際、労働分配率などは、同業の会社によっても まちまちです。 

 

そのような労働分配率ですが、1960年から2014年までの 50年あまりの間の年次推移は下表のとおりとなります(下表は、財務省広報誌「ファイナンス」平成27年12月号(通巻601号)84~93頁の財務省総合政策研究所副署長高田潔氏の「さらに企業利益率が改善した日本経済-平成26年度法人企業統計年次調査より-」の「図表15  労働分配率の推移」を引用したものです。) 。

 労働分配率の推移.jpeg

 

新聞では、労働分配率が下がったことがばかり報じられるわけですが、

好景気 → 人手不足→ 賃金上昇 = 労働分配率上昇 ということになりますので、労働分配率を上げることができないのは、景気がよくないからなわけで止むを得ない面があるといえます。 

 

財務省「法人企業統計」や、 TKC経営指標 の労働分配率を参考にして、

労働分配率が〇〇%となるよう昇給をする、しないという交渉をするわけですが、実際には、会社ごとで労働分配率はまちまちです。

あくまで、昇給の目安として 労働分配率 を使っているだけなのに、そのことがよく分かっていない人が 結構いますね。

 


ハンセン病特別法廷 最高裁、違法を認めて 謝罪 [検討]

最高裁が、ハンセン病患者の刑事裁判を療養施設に設けた「特別法廷」で開廷していた問題について、「社会の偏見や差別の助長につながった。患者の人格と尊厳を傷つけたことを深く反省し、お詫(わ)びする」と謝罪した、ということです(朝日新聞DIGITAL2016年4月25日「最高裁、謝罪したが違憲性は認めず ハンセン病特別法廷」)。
     
    
    
    
最高裁事務総局が委員会を開催し、有識者の意見を聞いた上で調査報告書を公表し、その調査結果に関し,最高裁判所裁判官会議が談話を発表した
   
ということで、それを新聞等が報道しているということになるようです。
     
    
ハンセン病を理由とする開廷場所指定に関する報告書」は最高裁判所事務総局を作成者とした報告書ということになりますが、
   
「第六 総括」「1 まとめ」(58、59頁)の箇所では、要約すると、
 
 
昭和23年2月13日の最高裁判所裁判官会議で、ハンセン病患者を被告人とする下級裁判所の刑事事件につき,裁判所以外の場所において法廷を開かせることについては,事務総局に処理させる旨の議決がなされた。
   
この専決権限の付与は法に適合しないものではないが,遅くとも昭和35年以降においては,当事がハンセン病に罹患していることが確認できれば,原則として開廷場所の指の上申を認可するという,専決の前提となった運用が相当性を欠く状況になっていた。
   
事務総局が,遅くとも同年以降,専決の前提となた状況が変化し運用の考え方が相当性を欠く状況になっていたことを裁判官会議に諮ることなく,その後も専決権限を行使し続けたことは相当ではなかったと考えられる。
   
開廷場所の指定は,指定する場合の開廷場所の特定方法及び開廷場所指定の内部手続において相当でない点があり,また,裁判所外での開廷の必要性の認定判断の運用は,遅くとも昭和35年以降,裁判所法69条2項に違反するものであった。
 
ということが述べられています。その上で報告書には、 
    
「このような誤った指定の運用が,ハンセン病患者に対する偏見,差別を助長することにつながるものになったこと,さらには,当事者であるハンセン病患の人格と尊厳を傷つけるものであったことを深く反省し,お詫び申し上げる。 」 
      
と書いてあります。
       
 
なんと、報告書で、最高裁事務総局が謝罪しています。
      
    
記者会見の映像を見ていて、どうして最高裁長官ではなく、事務総長が出てきて記者会見をし、謝罪の言辞を述べているのかしらんと思っていましたが、謎が解けました。
   
報告書において最高裁事務総局が謝罪をしていたから、そのトップの事務総長が謝罪したということか(記者会見の模様は、YouTubeのANNnewsCH「最高裁が"違法"認め謝罪  ハンセン病特別法廷(16/4/25)」、KYODO NEWS「ハンセン病隔離法廷『違法』と謝罪 最高裁、憲法判断は示さず」参照してみて下さい。)。
                                 
     

そのような前提で、最高裁判所裁判官会議談話、
  
「ハンセン病を理由とする開廷場所指定に関する調査報告書」を公表するに当たり,同報告書に示されたとおりハンセン病に罹患された方々への裁判所による違法な扱いがなされたことにつき,ここに反省の思いを表すものです。
 
長きにわたる開廷場所の指定についての誤った差別的な姿勢は,当事者となられた方々の基本的人権と裁判というものの在り方を揺るがす性格のものでした。国民の基本的人権を擁護するために柱となるべき立場にありながら,このような姿勢に基づく運用を続けたことにつき,司法行政を担う最高裁判所裁判官会議としてその責任を痛感します。
    
これを機に,司法行政に取り組むに当たってのあるべき姿勢を再確認するとともに,今後,有識者委員会からの提言を踏まえ,諸施策を検討して体制づくりに努め,必要な措置を,速やかに,かつ,着実に実施してまいります。
    
ハンセン病に罹患された患者・元患者の方々はもとより,御家族など関係の方々には,ここに至った時間の長さを含め,心からお詫びを申し上げる次第です。」
   
を読み返してみると、専決権限を与えた事務総局に対して 監督不行き届きがあったことを 謝っているだけにすぎないようにも読めます。
   
    
 
来週5月3日は憲法記念日で、恒例の最高裁長官の談話がありますが、ハンセン病の件についても何か述べられることでしょう。
      

建築物の完了検査実施率(その1) [検討]

私も ほんの少し前まで同じでしたが、多くの弁護士は、

「建築基準法が規定する 建築物の確認制度・検査制度上、建築主が建築確認を得て着工しているのであれば、完了検査も受けていて、検査済証も取得しているはず」

と誤解をしているのではないでしょうか。

 

国土交通省中部整備局のホームページの「建築確認制度」の箇所では、

「完了検査とは、工事が官製完了検査とは、工事が完成した段階で、その建築物が法令の基準に適合しているかを検査することをいいます。

具体的には、建築主のみなさまは、特段の理由(災害等、やむを得ない理由)が無い限り、建築工事が完了した日から4日以内に完了検査の申請をしなければなりません。この申請に基づき完了検査を建築主事や指定確認検査機関が行い、建築基準関係規定に適合していると認めたものについて、建築主のみなさまに対して『検査済証』が交付されます。

完了検査を受けないと、後に違法建築物であることが判明した場合に建築主に対して建築物の使用禁止や是正命令が出されたり、あるいは住宅金融公庫の融資が受けられなくなることがあります。」

などと、「完了検査の申請は建築主の義務」と解説しています。

こんな説明が もっともらしく 流布されているため、ナイーブな私などは「建築確認を受けているのなら、完了検査も受けているはず」と、誤解を正す機会を持つことなく今日まで来てしまっていました。   

「(建築確認を受けておきながら、)完了検査を受けていないなどというのは、ごく少数の不届き者」と思っていました。

確認制度・検査制度の概要.jpg 

(上図は 国土交通省のホームページ「参考資料(PDF形式:409KB)」から引用)  

 

 

ですが、現実には、そうではありませんでした。   

国土交通省は平成 26 年7月、「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」を定めましたが、同ガイドライン中では、

「建築基準法において、建築主は、工事完了後、建築主事又は指定確認検査機関による完了検査を受けて検査済証の交付を受けなければならないが、この検査済証の交付を受けていない建築物が、平成 11 年以前では半数以上を占めていた。」

ということを認めています。

ガイドラインでは、平成10年度(1998年)から平成24年度(2012年)までの間の完了検査率の推移を示したグラフを掲載してますが、平成10年の完了検査率を見てみると、38 %に過ぎません。

下図がガイドラインから引用したそのグラフです。 

完了検査率の推移.jpeg 

なお、ガイドラインでは「完了検査率」を 「当該年度における検査済証交付件数 / 当該年度における確認件数」と定義をしています。  

 

知らなかった方、多くなかったですか?