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「 獣医 不足 朝日新聞 」でググってみると [検討]

加計学園問題のテレビ新聞報道を見ても、獣医師が不足している現状にあるのか、一番の肝となりそうなことが分かりません。

やはり、どうは言っても朝日新聞が一番掘り下げた報道をしていたであろうと推測されるので、「獣医 不足 朝日新聞」をキーワード、「2016年12月31日より前」を検索期間としてみて、グーグル検索をしてみました。

その検索結果画面は これ となります。


2010年(平成22年)6月17日の鈴木暁子記者


という署名記事が劈頭に出てきました。ニュース検索ではこの記事は出てきませんので、「GLOVE」と呼ばれている日曜版の記事ということだったため、運良く(運悪く)、網に引っ掛かってくれたようです。


記事では、

「朝日新聞の調べでは、獣医師の定員を定める20都道県のうち12の道県で定員割れとなっていた。北海道で51人不足し、岐阜県で18人、鹿児島県で10人、新潟県で7人足りない。薬剤師や臨床検査技師が獣医師の仕事の一部を肩代わりしている県も複数ある。」

と、公務員獣医の不足を指摘しています。


獣医師は 公務員に関しては不足しているようですが、記事が一本だけでは、断定できません。


検索結果を、順番に見ていくと、「唐木秀明 著-1998」

獣医学教育の現状 現在危機的な状況にある 獣医学 ... - J-STAGE Journals

というPDFファイルを見つけました。
1998年の日本獣医師会誌に、唐木英明現東大名誉教授が投稿した「獣医学教育の危機」という論説で、日本科学振興機構(JST)のジャナールとして保管されているもののようです。
論説の内容は、
獣医学科は質の高い学生を集めているが、教育環境は良くなく、教育水準は国際的なレベルに及ばなないため、獣医師は世界水準に及ばないことになっている
という辛口の指摘がされたものでした。

    

唐木英明名誉教授は、今回の加計学園の件 について何か語っているだろうかとの関心が湧き、検索してみたところ、皮肉なことに、くだんの朝日新聞の WEBRONZA に 今月5日、


と題した論説記事を発表されていることが分かりました。

 

いやらしいことに記事のリード部分で、唐木教授が「東大定年後は加計学園関連の倉敷芸術科学大学長を務めた」ということが触れられています。でも、20年前も前から獣医師会の閉鎖性を指摘していた唐木教授が、加計学園に対し忖度したことを述べられているなどという心配はなさそうで、論考は信頼できるものであろうことが予想できます。

是非、読んでみたくなり、 1ヶ月だけRONDANの講読をすることにしました。


記事では、


過去半世紀にわたって獣医学部が設置されなかったことの理由の一つが、獣医師会が獣医師の権益を守ること、とくに獣医師の過半数を占める小動物獣医師の過当競争を避けることと、既設の市立獣医科大学の権益を守るために、獣医師の数は一人たりとも増やさないという方針だったからである

との指摘し、

2010年に愛媛県と今治市が獣医学部設置の申請をした時には、日本獣医師会は過剰ともいえる反応を示し、「獣医学教育課程が、『特区』に名を借りた『地域おこし』や特定の一学校法人による『大学ビジネス拡大の手段(場)』と化すようなことがあってはならない」と批判をした

ということが触れられています。


医師の需給関係の調査は、これまで1回、唐木教授が責任者を務めて 2007年に調査が行われ、その調査結果から、小動物獣医師はほぼ需給のバランスが取れているが、家畜臨床と公衆衛生を担当する獣医師は今後も不足するとの予測された。

その原因の一つに、高収入が見込まれる大都市の職域に獣医師が流れるという医師偏在と同じ要因が指摘された。


ということです。ですが、

2007年の調査での予測では、卒業生の数が変わらないことが前提とされていたが、入学定員を厳守したところ卒業生が大幅に減少することになった。

獣医学の入学定員は930名だが、930名の入学定員を厳守すると、国家試験合格率は約8割なので、獣医師の年間供給者数は750名程度となってしまい、これまでも不足していた家畜臨床や公衆衛生分野の獣医師がさらに減少し、社会的混乱を招く恐れがあった。

その対策としては、既存の大学の入学定員を少しずつ増やして合計1200名にすることも考えられるが、その場合には教員も施設、設備も増やさなくてはならず、現実的ではない。そこで出てきたのが私立大学を設置する方向だった。教育改善の努力を続けていた関係者の間で具体的な大学名は出なかったが、賛否は別として、平成19年から15回にわたって獣医学部の新設を求めていた愛媛県今治市が、関係者の念頭にあったことは間違いない。このような背景事情があったことは、「極めて薄弱な根拠の中で規制緩和が行われた」と発言した前文科事務次官も当然知っていたはずである。

ということが述べられています。

  

定員の事実上の水増しで凌いでいるということなど、誰も何も触れないのはどういうことなのでしょう。

     

論説の読む限りでは、加計学園が獣医学部を新設することとなったのは順当な話しであったとしか思えないという感想を持った。



県警の警察職員の任命権者 [感想]

刑事弁護に 関わる弁護士からすると、誰がやろうと 刑事記録の改ざんなど言語道断。

なので、「そんなことをすたのなら一発でアウト」といった感想なのですが、警察官にはそんな扱いはされていないようです。     


近いところでは一週間ほど前に、滋賀県警で、30代の男性警部補と40代の男性巡査部長の調書の改ざんかが報じられていました。

交通事故の実況見分調書を 一方の事故当事者の供述内容と整合するよう改ざんしたということです(時事通信社2017/5/27「交通事故の捜査書類改ざん=警部補ら2人書類送検-滋賀県警」)。

改ざんをした警察官2人は 虚偽有印公文書作成、同行使罪で送検されたということです。しかし、行政処分としては、懲戒処分ではなく、所属長訓戒の内部処分。

事故当事者が、交通事故に関する滋賀県警の行政処分に不服申立てをしたため不正が発覚したというですが、警察官らは「軽微な事故で(改ざんしても)事実関係や刑事処分には影響がないと安易に考えた」と話しているそうです。実際に影響があったからこそ、事故当事者が不服申立てがされている事案であっても、懲戒処分にはならないということです。      

滋賀県警の調書の改ざんは昨年8月にも、同じようなのがありました(朝日新聞DIGITAL 2016年8月16日「交通事故の供述調書を書き換えた疑い  滋賀県警の警部補」)。

「双方にけがはない」と供述していた加害者の供述調書を作成した40代男性警部補が、加害者を再度呼び出して供述調書を作成し直さないといけないのに、元の調書を「相手がけがをしているかもしれない」という趣旨に書き換えた疑いがあるというものでした。

調書の偽造ですので、当然、虚偽有印公文書作成、同行使罪で検察庁に送検。こちらも警部補には懲戒処分はなく、所属長訓戒。警部補は「安易な気持ちでやった」と話しているそうです。  


そんな記事に接していると、少なくとも、滋賀県では警察官の調書の改ざんは 軽微なものであれば、改ざんをした警察官は 虚偽有印公文書作成・同行使罪(刑法156条、158条1項)の被疑者として送致はされるものの、懲戒処分 が課されることはなく、所属長訓戒で済まされるのか、という思ってしまいます。

でも、そんなのありなのでしょうか。

    

愛知県の場合では「公務員の懲戒処分」を定め、処分基準と公表基準を定めていますが、滋賀県の場合は公表基準はあるようですが、元となる 懲戒処分の処分基準 の方はないようです(文部科学省の資料(「平成27年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」資料2-7)参照)。

  

そんなわけではないのでしょうが、処分基準が明確でないため 滋賀県警の場合では、警察官が調書偽造しても内部処分で済まされているのでしょうか。

    

愛知県の場合、警察職員の懲戒処分については、ほかの県職員とは違って、愛知県警察職員懲戒等取扱規程 という手続規定に従い、懲戒処分や所属長訓戒などの処分がなされていることになっているようです。

滋賀県の場合を調べてみると、「職員の懲戒の手続および効果に関する条例」という条例があり、同条例5条を受けた「職員の懲戒の手続および効果に関する規則」に基づいて、警察職員についても懲戒処分がされているようです。「任命権者」が懲戒処分を通知すると規定されているわけですが、滋賀県の警察職員の任命権者は 滋賀県警察本部長ということになります(「滋賀県 警察職員 任命権者 」でのグーグル検索結果参照)。

なので、警察職員懲戒等取扱規程など定めずとも、滋賀県警察本部長が警察職員に懲戒処分を課せばよいと言うわけです。


「任命権者」は 警察本部長 

                  


労働事件の略式請求は不相当 大阪簡裁 [報告]

大阪区検が起訴した労働事件の略式命令の請求を、大阪簡裁が不相当として判断し、正式の公判が開かれるとの異例な事態となっているとの新聞記事を今年2月に見かけました(産経新聞2017年2月8日「裁判官¨異例¨の説諭『大阪を代表する会社なのだから…』 超安売り王『スーパー出玉』に罰金  留学生を長時間労働  大阪簡裁」)。     


略式命令の請求を不相当として正式の公判が開かれることになったと言うことですが、記事をよく読んでみると、

検事からは略式請求の際と同じ金額の罰金の求刑がなされ、裁判官が検事の求刑と同額の罰金額の判決がされたということです。

そのようなことであるなら、正式な公判手続がされたと言っても、略式の場合とは、代表者らを法廷に出頭させて、反省の弁を述べさせている点に違いがあるだけにも思えます。   

   

略式命令の請求を不相当とする場合、三好一幸著「略式手続の理論と実務」(司法協会)を読んでみると実務では下のような書式を用いられるということだそうです(48頁)。不相当かどうかを判断するのは裁判官だということです。

略式命令不相当の書式.jpg

大阪労働局の「かとく」(過重労働特別対策班)の案件でもないようですし、どうしてそんな扱いをするのだろうと思っていました。

  

ちなみに、前述の「略式手続の理論と実務」では、

「略式命令をすることが相当でないものである」とは、略式命令請求自体は適法であるが、略式手続によることが相当ではなく、通常の公判手続により審理すべき場合をいう。

(1)  事案が複雑で、公判手続における通常の審理を相当と認めるとき

(2)  訴因・罰条の追加、撤回又は変更を要するとき

(3)  多くの日時を要する事実の取調べを必要とするとき

(4)  100万円以下の罰金又は科料以外の刑を科すべきものと認めたとき

(5)  量刑について検察官と著しく意見を異にするとき

と書いてあります(48頁。なお、注釈刑事訴訟法の解説もほぼ同じでした。)。


スーパー玉出ではどれにも当て嵌まりません。   

  

もやもやした気分が続いていたところ、今月(5月)11日の産経新聞の記事(「スーパー玉出、和食さと…労働事件で略式は〝ダメ〟 大阪簡裁で移行相次ぐ、識者『社会情勢を考慮』検察『迅速さ失う』」)で、自分なりに納得することができました。  

その記事では、

労働関係事件で検察が請求した略式手続きを大阪簡裁が認めなかったケースは昨年11月以降、少なくとも5件に上る。短期間にこれほど続くのは異例だ。」

としつつも、

さらに大阪簡裁が略式起訴を退けた5件はすべて同じ裁判官が担当していた。このため全国の裁判所の傾向というより、大阪簡裁に限った「局地的」な現象とみる向きもある。」

と書いています。

  

和食さと の裁判官は スーパー玉出の裁判官と別人でしたので(朝日新聞DIGITAL2017年4月20日「 和食さと運営会社の社長出廷 違法な残業『心より反省』」対照)、うっかりしていましたが、      

一人の裁判官が略式請求を不相当としていたということのようです。        

ただその裁判官、異動で裁判担当からは外れたのか、あるいは退官してしまったのでしょうか。

裁判所ホームページではお名前を見つけることができませんでした。    

  

産経新聞も裁判官が刑事法廷の担当から外れたので、記事で「一人の裁判官」と書いたわけか。

やはりマスコミ統制はよく効いているようです。

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商工中金の不正融資 [感想]

小規模企業共済から契約者貸付を受けようと思い、昨年、商工中金の支店に行ったことがありました。

その支店に行ったのは10年振りぐらいではなかったかと思います。

行員の平均年齢が高く、男性が多いという感想を持っただけでなく、

店舗が古いということもあるのだと思いますが、何となく空気が澱んでいると感じました。

   

同じ政策金融機関でも、国民生活金融公庫を母体とする 日本政策金融公庫 の方は、 国金(コッキン)の際とは違って、お洒落になり、行員も若く、シャキとしているという印象なのですが、

商工中金の雰囲気が それと余りに違っているのに驚きでした。

例えて言えば、両者は、少し前の田舎の信金支店と、現在の都市部のメガバンク支店と言ったところでしょうか。  


「どうして商工中金も日本政策金融公庫に合流させないんだろう」

とその際、強く思いました。   

   

そんな商工中金に、通商産業大臣、財務大臣、金融庁長官から、業務改善命令が昨日9日に出されたということです(朝日新聞DIGITAL2017年5月9日(「商工中金に業務改善命令  政策金融で初  不正融資問題」)。   


融資実績を盛るため、組織的に、全社的に、書類の改ざん等をして不正な融資が行われていたことについてのものだということですが、     

消える運命をはね除けるため、不正をしたというだけなのでしょう。


商工中金の不正は、第三者委員会の発表では 35支店、816件の不正があったということです(日本経済新聞2017年4月25日「商工中金の不正融資、35支店816件  第三者委発表」)。

  

第三者委員会の調査報告書の「別紙 調査結果一覧表」(156頁の次)には 不正があった35支店の支店が掲載されていますが、その2頁目の名古屋支店の欄を見てみると、27口座で不正があった第三者委員会は判定しています(下に第三者委員会の調査報告書「別紙  調査一覧表の2頁目を引用させていただきます。)。

別紙調査結果一覧表抜粋.png



276件の池袋支店、239件の鹿児島支店は別格として、名古屋の27件は、28件の不正があった横浜に次ぐ不正の件数ということになります。

やはり澱んでいたということですか。   

    

MRIインターナショナル のその後 [感想]

「投資被害に遭うと どの程度の被害回収が可能なのだろう」ということについて雑談を同業者としました。          

MRIインターナショナル事件(2013年(平成25年)4月に発覚した、MARS債を顧客8,700人に販売し、1365億円の資金を集めた投資詐欺事件)について結成された MRI被害者弁護団 が存在しています。

その弁護団がいよいよ、今年(2017年)6月末で依頼受付を終了することになりました。

その話が発展しました。事件処理が一段落すれば、被害回復金を被害者へ配分することになります。

被害者への配分は どうなるんだろうね、と話が進んだわけです。    


弁護団のホームページでは、その点に関しては何も触れられていないため推測するしかありません。   

でも、このMRIインターナショル事件では、

2013年12月から3年半以上の期間にわたり、詳細な情報提供をされている、

「MRIインターナショル事件に見る『騙される人達』」とのタイトルで ブログ開設をされている方がいます。

内容が充実し、内容も正確なので、私もちょくちょく拝見し、参考にさせていただいていました。




米国での回収額は(SEC関係での回収分の) 上限40億円程度ではないかと予想をされています。

(ここから当然、実費と弁護士費用が控除された上で、配分されることになります。 

ブログ氏は弁護団に対して冷たい意見をお持ちのようですが、弁護団が存在しなかったのであれば、被害者救済を図ることはできないわけですから、MRI被害者弁護団は被害者救済のために十分役立っているものと私は考えております。)

    

MRIインターナショルは、タコ足配当をしていたわけですから、お金が消えてしまっているわけなので、その程度の回収しか出来ないのはやむを得ないだろうね、私と同業者とでは意見の一致を見ました。

怪しげな金融商品に手を出すと酷い目にあうということですか。


行政書士会の強制加入制度の廃止あるいは 一都道府県に二つ以上の行政書士会設置を認めること [感想]

第15回規制改革推進会議(平成29年4月14日開催)の議事次第を見ていたところ、

規制改革ホットライン の中に、

「55  行政書士会の強制加入制度の廃止あるいは一都道府県に二つ以上の行政書士会設置を求めること」 

という提案があるのを見つけました(「・投資等ワーキング・グループ関連の提案内容(PDF形式:188KB)」)。

    

Google で「規制改革会議」「強制加入」で キーワード検索してもこれしか出てきませんので、強制加入の士業に関しての提案としては初めてのものであるようです。
                         
      
提案された方は、提案の具体的内容等で、
    
「  現状、行政書士は事務所がある都道府県の行政書士会に加入しなければなりませんが、行政書士会が「困りごと解決」のような弁護士と誤認させるような依頼誘致を行ったり、ADRや成年貢献のような行政書士の資格が必要ない業務に予算を計上し行政書士会の予算で組織が運営されていたりします。
   
これらは、行政書士制度の本旨から外れたことであり、強制入会かつ会費の支払いを拒否すれば廃業を勧告するにもかかわらず、行政書士会が、行政書士の資格が必要ない憲法によって国民に保障された一個人の経済活動の自由の範疇にあたる業務について、行政書士から徴収した会費を支出するということは、「行政書士法に定められていない業務をやらない自由」を侵害するものであり、経済活動の自由、思想信条の自由を侵害している状況です。
   
東京都行政書士会の総会は、官公署への書類の作成・提出業務に支障をきたす平日に行われ、かつ代議員制を敷いているので、会員個人の意見が総会に反映されることはなく、かつ行政書士会の執行部が行政書士法を理解していないため、行政書士会内での「部分社会の法理」を適用すれば「行政書士会の強制加入制度の濫用」、「行政書士の名称使用の濫用」につながります。
   
現状、行政書士会は、行政書士法第15条2項に記されている目的を遂行していません。行政書士の制度設計を無視し、権利を濫用している行政書士会への強制加入は、行政書士会に定められた業務を行う上での参入規制であり、思想信条の自由、経済活動の自由を侵害するものであります。
   
都道府県知事の監督が必要ということであれば、業務の方向性が違う行政書士を一つの会にまとめることをせずに、一つの都道府県につき二つ以上の行政書士会の設置を求め、行政書士の経済活動の自由、思想信条の自由を保障すべきです。「行政書士法に定められた業務でない業務のための資金を出せ、出さなければ裁判を起こして廃業に追い込む」というやり方で行政書士会は運営されていますので、このような状況を続けるのであれば、行政書士会の強制入会制度を廃止するか、都道府県に2つ以上の行政書士会の設置を認めるべきです。  」
 

と述べられています。


本当は 何人が労働基準監督官の業務をしているの ? [困惑]

(前回の続き) 

労働基準監督年報で、労働基準監督監督署に配置された 労働基準監督官の定員の年毎の推移を整理できるはずだと思われたのではないでしょうか。それは私も同じでした。

さっそく、事務所近くの 愛知県図書館 で労働基準監督年報をチェックすることにしました。

下の 「労働基準監督官・定員(人)の推移」がその調査結果です(元データは末尾に掲載しておきました。)。

労働基準監督署配置の労働基準監督官と労働基準監督官全員の、それぞれの定員数 の年次推移をグラフは示していますが、数十年にわたり微増であったことが分かります。

グラフでは欠けが生じていますが、昭和31年(1956)から36年(1961)の6年分は、労働基準官の定員数 が掲載されていないためデータの集計ができませんでした。昭和63年(1988)から平成3年(1891)、平成6年(1894)から平成22年(2010)までの分の欠けは 愛知県図書館が労働基準監督年報を所蔵していないためでした。

調査未了なので完成させてからブログに載せようかとも思ったのですが、欠けた部分のデータがなくとも、定員の推移がどうであるかは一目です。知り得た知識を明らかにすることを優先することにしました。

時機をみて完成させたものを出したいとは思います。

労働基準監督年報の平成23年(2011)から平成27年の5年分は、厚労省がインターネット上で公表している労働基準監督年報のデータを使わさせてもらいました。                             

  労働基準監督官 定数年次推移.jpg

もちろん、労働基準監督官の定員数の漏れデータを、審議会等で厚労省が公表しているデータで補えなえるのではないかと考え、インターネット上で調べてみました。

そうしたところ、「労働基準監督業務について 《事務・事業説明資料》」という標題の厚労省が作成する資料を見つけました。

資料の2頁目では、労働基準監督業務に従事する 職員 (非常勤) を、

平成22年度(2010)が

      本省          23人(うち非常勤 0人)

      労働局     444人(うち非常勤54人) 

      監督署  2,474人(うち非常勤207人) 

であるとしています。

今年3月16日付の厚労省労働基準監局が作成した「労働基準監督行政について」では、労働基準監督署配置の労働基準監督官について、 

     平成25年度(2013)   3,198人

     平成26年度(2014)   3,207人    

     平成27年度(2015)   3,219人

     平成28年度(2016)   3,241人 

としていたはずです。労働基準監督署配置の労働基準監督官の数が 平成22年度(2010)と平成25年度(2013)では900人ほど、労働基準監督官の数が合いません。

(補足 … 労働基準監督官は非常勤職員ではないので、労働基準監督署において労働基準監督業務に従事している平成22年の職員数2,474人から非常勤の207人を引いた人数である 2,267人が労働基準監督官の上限であるはずです。その2,267人と平成25年度の3,198人では 931人の差異が生じていることになります。) 

平成23年(2011)、平成24年(2012)の2年間で (労働基準監督署配置の労働基準監督官について) 900人の大幅増員がなされていれば、二つの資料の辻褄は合うことになるのですが、どうなのでしょう、

 (下図は、厚労省労働基準監局が作成した平成29年3月16日付「労働基準監督行政について」本文1頁目と同省作成の「労働基準監督業務について 《事務・事業説明資料》」本文1頁目を対比させた図。)

 労働監督官と労働基準監督業務担当職員.jpg

 

幸いなことに、平成22年と平成25年のミッシングリングを埋める、平成23年(2011)と平成24年(2012)の、労働基準監督署に配置された定員数が労働基準監督年報に掲載されていることが分かりました。

平成23年労働基準監督年報(第64回)の 28頁には、平成23年度の

        労働基準監督署  3,169 人 

と、また、平成24年労働基準監督年報(第65回)の33頁には、平成24年度の

        労働基準監督署  3,181人  

と書いてあることが確認できました。

 

厚労省が作成した「労働基準監督業務について 《事務・事業説明資料》」本文1頁目の

平成22年度(2010)

  本省          23人(うち非常勤 0人)

  労働局     444人(うち非常勤54人) 

  監督署  2,474人(うち非常勤207人) 

という労働基準監督業務に従事者の数字が、異質なものであることが一応は分かりました。

 

なぜ、このように 底の浅い、不整合なことを 言い続けていたのでしょうか。

また興味が湧いてしまいました。

 

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過去は消せない [旬の話題]

(前回の続き) 
 
労働基準監督行政について」では、労働基準監督官の人員数、監督業務の実施状況が説明されていますが、いかんせん、説明はここ数年の状況に限られています。 
 
 
労働基準法が制定・施行されたのは昭和22年(1947年)なので、施行から 60年経過します。かつては どんなだったのでしょうか。
 
そんな好奇心を満たすには 大学図書館に行って 労働基準監督年報を捲らないといけませんが、幸いなことに、労働基準監督年報のうちの、ほんの一部が電子書籍化されていて、インターネット上で読むことが可能となっています。
 
そんな中の一つに、「労働基準監督年報第5回(昭和27年) 」がありますが、それには、昭和22年から昭和27年まで期間における 労働基準監督官の定数や、監督業務の実施状況、対象事業場数、対象労働者数が全て掲載されています。
 
それを使えば、労働基準法施行当初の数年間の労働基準監督行政の実施状況の統計的なデータを得ることが可能です。
       
    
それでは、以下では、「労働基準監督年報第5回(昭和27年)」を使って、労働基準監督署に配置された労働基準監督官の定数 、定期監督、申告監督、司法処分の各監督業務の実施状況を比較してみることにします。
 
 
まず、労働基準監督署に配置された労働基準監督官の定員ですが、平成25年から平成28年の 労働基準監督署に配置されている 労働基準監督官の定数の年次推移は、下図のとおりだということです。
 
つまり、3,198人 → 3,207人 → 3,219人 → 3,241人 に毎年微増だということです。
 
労働基準監督官数の推移.jpg 
 
    
では、昭和27年当時では、労働基準監督署に配置された労働基準監督官の数はどの程度だったのでしょう。
  
「労働基準監督年報第5回(昭和27年)」の第2表によると、昭和22年(1947年)から昭和27年(1952年)までの 労働基準監督署に配置された労働基準監督官の定員は 下図のとおりであったということになります。
 
昭和22年    1,292人
 
昭和23年    1,292人
 
昭和24年    1,418人
 
昭和25年    1,759人
 
昭和26年    1,759人
 
昭和27年    1,655人 
 
 
 労働基準監督官の定員数推移(s23-27).jpg
 
この結果ですが、昭和22年~27年当時は、労働基準監督署に配置された労働基準監督官の定員は、せいぜい、1,700人程度ということになり、3,200人の労働基準監督官が配置されている現時の半数程度しか、労働基準監督官は労働基準監督署に配置されていいないことを示しています。
      
労働基準監督署の労働基準監督官の数が2倍になったわけですので、現場で監督業務を担当する労働基準監督官の配置は、昭和20年時と比べて、手厚くなったと言えそうではありますが、大事な判断要素を見落としています。
   
それは、現時の労働基準監督業務の 適用事業場数は 428万事業場、適用労働者数は 5,200万人であるのに対し(平成27年労働基準監督年報(第68回)の38、39頁参照)、
 
昭和27年当時は (推定)適用事業場数は  93万5979 事業場、適用労働者は 1079万5022人に過ぎなかったということです(労働基準監督年報第5回(昭和27年)の22、27頁を各参照して下さい。)。
 
どういうことかと言いますと、今から55年前の昭和27年当時は、労働基準監督業務の実施対象事業場数も労働者数も、現在の5分の1でした。反対に言えば、労働基準監督官の監督業務の業務範囲は、55年前と比べ、5倍になっているということです。
 
労働基準監督業務の対象が5倍になったのに、業務を担当する労働基準監督官を2倍に増員すれば、増員としては十分だと言えるのでしょうか。少数精鋭と言っても限度があるはずで、2倍の増員では手薄になっているというのが常識的な判断ではないでしょうか。
   
 
     
   次に、労働基準監督官の監督業務の実施状況の方ですが、平成25年から27年は下図のとおりだたっということです。
 
 監督業務の実施状況.jpg
 
 
それに対して、55年前の 昭和27年当時はどうだったのでしょう。
    
 
定期監督と申告監督については下図のとおりだったということです。
 
定期監督の 監督事業場数は、
 
   昭和23年  181,636 
 
   昭和24年  377,241
 
   昭和25年  252,049
 
   昭和26年  244,601
 
   昭和27年  211,297 
 
ということだったということですので、今よりも 定期監督の 事業場数は 多いことになります。
 
申告監督の方についても、昭和22年から昭和27年では、
 
  9,681 → 27,754 → 39,410 → 28,197 → 28,983 
 
という件数ということになりますので、やはり、今より 実施件数が多いことになります。
   
「昔の労働基準監督官は今よりも 2倍以上の働きをしていた」ということなのでしょうか。 
 
   
監督種類別違反事業場数等(s23-27).jpg 
 
 
最後に、司法処分ですが、
 
昭和23年から昭和27年までの 送致件数  起訴件数は、
 
                送致件数  起訴件数 
昭和23年      240件      100件
 
昭和24年   1,094件      522件 
 
昭和25年      960件      438件
 
昭和26年      602件      402件
 
昭和27年      391件      194件
 
ということでしたので、処理状況は現時と変わらなさそうです。
 
やはり倍の働きをしていたということになるのでしょうか。 
 
労働基準司法警察事務処理状況(s22-27).jpg 
     
 
     
厚労省としては 社会に必要とされている 労働基準監督業務を過不足なく遂行していると言いたいのでしょうが、5倍となった業務を、2倍に増やした労働基準監督官に処理させているわけですから、その主張は正しいと言えるのでしょうか。
       

労働基準監督業務の民間活用 [旬の話題]

3月9日開催された規制改革推進会議で、労働監督業務を民間事業者に委託することが検討されることとなり、タスクフォースが設置されることになりました。
 
3月16日、4月6日と2回のタスクフォースでの会議が既に開催されている現状にあります(規制改革推進会議第12回議事録、タスクフォース第1回議事次第議事録第2回議事次第)。
    
昨年9月12日の安倍首相の諮問 を受け、今年6月に規制改革推進会議が答申を提出する際までに、委託対象業務の範囲や民間委託事業者の権限を答申に盛り込むということだそうですので、急ぐのは時間がないからのようです(時事ドットコムニュース2016年3月9日「労働監督、民間委託検討へ=規制改革会議、6月に答申」) 。
   
     
労働省は 複雑な業務で民間は対応できないので反対しているということだそうです(時事ドットコムニュース2016年3月16日「労働監督、民間委託に反対=厚労省、規制改革会議の聴取で」)。
 
確かに、タスクフォースの第1回会議で、厚労省は「労働基準監督行政について」という資料を提出し、苦しい陣容の中で一所懸命にやっているということを言っていることが議事録を読むと分かります(議事録) 。
 
 
それはさておき、厚労省が提出した資料と議事録をよく読んでみると、(下に「労働基準監督行政について」8頁の箇所をそのまま図示しておきましたが、)厚労省は、「時間外及び休日労働協定点検指導員」、「非正規雇用労働者労働条件改善指導員」、「労働時間管理適正化指導員」、「働き方・休み方指導コンサルタント」という名称の 指導員やコンサルタントを使って、民活を実践していると強弁していることが載っています。
 
 指導員等.jpg
 
 
記事録では、8頁から9頁にかけて、土屋大臣官房審議官が次のように説明しています。
                                      記
「…。さらに民間活用という点におきましては、民間の人材を私どもの行政組織の内部にお越しいただいて活用するという取組みをやっております。具体的には社会保険労務士や民間企業のOBの方に監督署や労働局にこれらの方を配置して活用することで、特に下の表にございますように労働時間の関係で申し上げれば、①と③ということでございますが、①にございますように、まず時間外・休日労働の定、いわゆる36協定の点検指導をする点検指導員を全国で200名ほど配置しておりまし、下の注記の①にございますように、この方々には監督署において36協定が例えば必ず載が必要な事項に漏れがないかどうかとか、労働者の過半数代表の選出方法に問題がなかどうかというようなことを確認していただいた上で、時間外労働の協定の時間がいわる限度基準告示に沿ったものになっているかどうかということを点検していただき、必な指導を行っていただくというような対応をしていただいてございます。督署に出てきている36協定は年間で140万件ほどございますが、そのうちの56万件、約割について、この点検をこれらの方々に御対応いただいている状況がございます。
③の労働時間管理適正化指導員につきましては、下にございますように長時間労働が疑われる事業場に自主点検を実施していただいたり、あるいは管理の適正化のための訪問指をするというお立場で御活躍をいただいております。これについては平成28年度に新設いたしまして、29年度はこれを倍増させる予定でございます。これらの方々は基本的に私ども行政の中で非常勤職員として、つまり公務員としてのお立場を持っていただきなら御活躍をいただいているということでございます。…」
 
 
OBの食い扶持確保という臭いがプンプンですが、これらの指導員やコンサルタントのやる業務は 複雑ではないということなのでしょうか。 
     

見比べてみると、警察官の懲戒処分の記事は いずれも 1 月 27日 (1) [困惑]

春の選抜高校野球ですっかり忘れていたことを思い出しました。
   
それは、2ヶ月前の 平成29年(2017年) 1月26日 の朝日デジタルの記事のことで、
   
夏の全国高校野球選手権大会で、優勝校を当てる賭け行為をしたとして、大阪府警が泉大津署の警察官 16人を本部長注意などの処分にしていたことが情報公開請求でわかった
 
という内容のものです(朝日新聞DIGITAL2017年1月26日「高校野球賭博や三代目JSBチケ転売… 警官16人処分」)。
   
    
泉大津署の20~30代の地域課、留置管理課などに所属する署員が2011年、12年、15年に、「賭け金を3千円以上にすると 賭博の罪に問われる」と示し合せて、1人 2 千円ずつ賭け金を出して高校野球賭博をしていたことが、2015年(平成27年)11月頃発覚し、賭けに関与した9人と非常勤職員を賭博容疑で書類送検した 
   
と記事には書かれているのですが、
 
「賭博をしたとして書類送された 9人と非常勤職員」というのが、リードにあった「野球賭博をした件で本部長注意を受けた16人の警察官」と同じ人達のことを指しているのか、
 
本部長注意は受けたが 送検されていない警察官もいると言っているのか、分かりませんでした。
     
   
引っ掛かっていたため、暇なときにでも確認して見ようと思っていたのですが、忘却の彼方にありました。
     
 
朝日の記事には「朝日新聞の情報公開請求でわかった」と書いてあり、独自取材のスクープ記事であることを窺わせていましたので、他紙の後追いがなければ 他紙の記事は期待できないかも、と思いならがも新聞雑誌記事横断検索を使い、調査してみました。
   
検索期間を「20170126~」、検索キーワードを「大阪府警 」「賭博」として検索してみたところ、24件の記事がヒットしました(下図は検索結果画面のハードコピーの一部)。 
 
 新聞雑誌記事横断検索結果.jpg
 
 
    
朝日だけでなく、読売も、毎日も、産経も 同じ日に 同じような記事があるではないですか。
     
 
時事通信の配信時間が 2017/1/26-19:58 となっている「警察署で野球賭博= 所員16人注意処分- 大阪府警」という記事が 現時点でも無料で読めるのが分かったので、記事の内容を確認してみますと、
 
泉大津署の職員16人が平成28年(2016年)2月17日付で注意処分を受け、16人のうち8人が単純賭博容疑で書類送検されたがいずれも起訴猶予処分となったことが1月26日に府警への取材で分かった
 
という内容で、情報公開請求した朝日の記事よりも 秀逸です。
   
ただ、朝日の記事では、書類送検されたのは「9人と非常勤職員」で、10人以上が書類送検されたことになりますが、
   
時事の方は「16人のうち 8人が単純賭博容疑で書類送検された」ということで、8人送検されたことになり、送検された数が二つの記事では合っていません。
   
   
情報公開請求と大阪府警への取材のどちらが正しいのでしょう。