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吉野屋のモットー [感想]

「吉野屋」、「モットー」をキーワードにグーグル検索すると、「年商1億円という目標を自ら課し、「はやい、うまい」というモットーを掲げる。これまでは牛丼以外のメニューも提供していたが、牛丼のみに。また、「お客様は牛丼を食べに来ている」と考え、それまで具材として入っていた焼豆腐、筍をやめて牛丼と玉ねぎだけの…」とのディスクリプションが表示される、「牛丼100年ストーリー|吉野屋公式ウェッブサイト」が一番目に出てきます。   


吉野屋の牛丼100年ストーリーを読んでみると、

「はやい、うまい」は、吉野屋の創業者である松田栄吉氏が 1958年に株式会社吉野屋を設立した際にモットーとして掲げたということです。

その数年後、1962年には 吉野屋の他店舗化に向け、「やすい」を加えた「はやい、うまい、やすい」をキーワードとし、さらに、吉野屋がBSEで牛丼販売を休止した2005年に、市場のニーズにあわせて、「うまい、やすい、はやい」に(、「はやい、うまい、やすい」から) キャッチフレーズを さらに変更したことが書かれています。


私の感覚では、

「モットー」 ≠ 「キーワード」 ≒ 「キャッチフレーズ

です。

「はやい、うまい」というモットーに「やすい」を加え、「はやい、うまい、やすい」とすることは許されるとしても、

1番の価値を認めてた「はやい」を、「うまい、やすい、はやい」の最後に持ってくるなど私には考えられません。



ところで、日経BP社サイトに掲載された 吉野屋の前々社長であった安部修仁氏の講演録中では、安部氏は、吉野屋のコア・コンセプトが、

・創業時(日本橋・築地) 「うまい、早い」

・1970年代       「早い、うまい、安い」

・1980~1990年代    「うまい、早い、安い」

・2000年代       「うまい、安い、早い」

という順番で変化をしたと述べています。



牛丼100年ストーリーでは、1958年に会社設立時のモットーは「はやい、うまい」でした。安部社長とは 「創業時(日本橋・築地) 『うまい、早い』」のところが違います。

安部社長は  1980~1990年代は 「うまい、はやい、やすい」だったなんてもいってます。

  


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飲食店営業者の住所 [感想]

飲食店を始めるには、保健所に申請し、許可を受けなければなりませんが、

許可権者は原則、都道府県知事。例外的に大都市などでは市長になります(食品衛生法67条、52条参照)。


私が住む愛知県の場合ですと、名古屋市(指定市)、豊橋市と岡崎市(中核市)は市長から、それ以外の市町村では知事の許可を受けることになります。   


食品衛生法における飲食店営業の許可権者が違っていたため、興味深い体験ができました。 

それは、名古屋市内の個人営業の飲食店と県内の個人営業の飲食店の、情報公開請求をした際のことです。

食品営業許可台帳に記載されている、営業者の氏名と住所を、名古屋市と愛知県に対し情報公開請求をしたところ、

        名古屋市   営業者の氏名は公開、住所は非公開     

        愛 知 県    営業者の氏名、住所とも公開

という結果になりました。

個人事業者の住所を名古屋市は非公開、愛知県は公開という違う扱いになりました。


個人事業者に関する行政文書の公開の基準は、名古屋市の場合は 名古屋市情報公開条例第7条2項が、愛知県の場合は 愛知県情報公開条例第7条第3項がそれぞれ規定しています。

名古屋市の条例の方は「原則公開だけど、公開することによって明らかに不利益を与えるものは非公開。でも、公にすることが公益上特に必要な場合にはやはり公開する」という条文の書きぶり。

他方、愛知県の方は (7条柱書部分で公開が大原則と述べた上で、7条3項では)「情報を公開することで個人営業者の正当な利益を害するおそれがあるときと、公開しないという条件で情報提出をしてもらったときだけは非公開。でも、生命、健康、生活や財産を保護するため、公にする必要がある情報はやはり公開。」と言った条文の書き振りです。

この条文の書き振りの違いが、(行政)解釈の相違を、また、その結果、判断の相違を導いたということになります。     

地方議会が制定している 情報公開条例 などは、総務省の示したモデル条例案を丸飲みしていて、地域性などどこにもない、どこもかしこも同じたんだろうと 想像していました。

  

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銀行のカードローン [感想]

銀行のカードローンは、いつのまにか、クレサラ等が貸出の保証と融資審査がビルトインされる仕組みとなった。

改正貸金業法が成立(平成18年12月)した当時にはまったく想像できなかった。せいぜい、サラ金を子会社化した銀行が、サラ金から融資審査と回収のノウハウを吸い取り、自前で、ミドルレンジの個人向け無担保融資を業務に加えていくんだろうと思っていた。


それが、銀行のカードローンは、貸出が焦げ付いても、保証会社の代位弁済してくれるので、銀行は、保証料は支払わないといけないわけではあるが、泥臭い回収やノウハウのない与信審査から解放され、それらの業務部分がアウトソースされることになった。

保証会社が潰れない限り、銀行は「貸出金利-保証料率」を収益として確実に上げることができる。

  

銀行のカードローンが急増しているのも当然で、カードローンを宣伝する 阿部寛 や 吉高由里子 がテレビによく出てくるのもそんなわけだ。


日弁連は昨年9月16日に「銀行等の過剰貸付の防止を求める意見書」を公表し、銀行カードローンについても、年収の3分の1の総量規制の対象とすべきだと意見を述べていた。

全く反響がないかとと思っていたところ、今年3月頃以降、カードローンの過剰融資を金融庁が問題であるとの認識し、この9月には立ち入り検査をするそうである。

   

    

銀行は、プロパーで所持する預金情報等の信用情報に加え、サラクレに与信審査させることにより、サラ金系の日本信用情報機構(JICC)や、新販系のシー・アイ・シー(CIC)に登録されている、ホワイト情報(借入申込をしてきた者がどこからいくら借りているか)を取得できるので、与信審査時には、サラクレが所持する信用情報よりも多くの情報を持ち、情報優位の立場に立っているものと想像される。

銀行は、情報の優位性を生かし、より正確な与信審査をし、融資先をセレクトしているものと思っている。

後出の「強欲の銀行カードローン」には、三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長が「年収比で多額のお金を貸す場合は、その分だけ審査が厳しくなるので、倒れる確率が低くなる。」ということを述べていたということです(147頁)。本当に、銀行カードローンの貸倒率が サラクレの貸倒率よりも低いのなら、銀行カードローンは、サラクレよりも、有利に貸出先を選別しているからだということになり、私の想像に合致しそうです。


そもそも、銀行のカードローンでは、申込みの何割が蹴られているのか、貸付利率は何%なのか、所得と貸付利率とは反比例していると思われるがどうなのか、ミドルレンジの貸付けは実現されているのか、焦げつきによる保証会社の代位弁済率がどれほどなのか、

また、カードローンは過剰融資と昨今言われているが、個人向けの無担保融資はサラクレ,カードローンの総額としては何兆円程度が適正であると試算がされるのかなど、

銀行カードローンについて知りたいことが沢山ある。

  

そう思っていたところ、朝日新聞経済部記者である藤田知也氏の「強欲の銀行カードローン」(角川新書)が新刊として出版されたので、期待して読んでみた。


残念だが、同書で得ることができた知見は、

40歳頃だと思われる朝日新聞社員である著者が、三菱東京UFJ銀行のカードローン「バンクイック」に、スマホで、名前、住所、生年月日、持ち家か賃貸か、住宅ローンや家賃の額、家族構成、他の借金の有無とその返済額、会社の規模や業種、勤続年数や連絡先を記入して申し込んだ。

審査結果は、融資限度額300万円で金利は7.6%であったこと。

収入証明書がないと、融資限度額が200万円に下がり、利率も10.6%となったこと。

であった。


ただ、住宅ローンや他の借入金の有無残高、年収額などが明らかでないので、融資限度額や、利率が高いのやら、高くないのやら、判断することができない。


利率 7.6% なら、ミドルレンジの貸付けが 銀行カードローンによって実現されているとも言えそうにも思えるがどうなのだろうか。


   

強欲の銀行カードローン (角川新書)

強欲の銀行カードローン (角川新書)

  • 作者: 藤田 知也
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/09/08
  • メディア: 新書




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県警の警察職員の任命権者 [感想]

刑事弁護に 関わる弁護士からすると、誰がやろうと 刑事記録の改ざんなど言語道断。

なので、「そんなことをすたのなら一発でアウト」といった感想なのですが、警察官にはそんな扱いはされていないようです。     


近いところでは一週間ほど前に、滋賀県警で、30代の男性警部補と40代の男性巡査部長の調書の改ざんかが報じられていました。

交通事故の実況見分調書を 一方の事故当事者の供述内容と整合するよう改ざんしたということです(時事通信社2017/5/27「交通事故の捜査書類改ざん=警部補ら2人書類送検-滋賀県警」)。

改ざんをした警察官2人は 虚偽有印公文書作成、同行使罪で送検されたということです。しかし、行政処分としては、懲戒処分ではなく、所属長訓戒の内部処分。

事故当事者が、交通事故に関する滋賀県警の行政処分に不服申立てをしたため不正が発覚したというですが、警察官らは「軽微な事故で(改ざんしても)事実関係や刑事処分には影響がないと安易に考えた」と話しているそうです。実際に影響があったからこそ、事故当事者が不服申立てがされている事案であっても、懲戒処分にはならないということです。      

滋賀県警の調書の改ざんは昨年8月にも、同じようなのがありました(朝日新聞DIGITAL 2016年8月16日「交通事故の供述調書を書き換えた疑い  滋賀県警の警部補」)。

「双方にけがはない」と供述していた加害者の供述調書を作成した40代男性警部補が、加害者を再度呼び出して供述調書を作成し直さないといけないのに、元の調書を「相手がけがをしているかもしれない」という趣旨に書き換えた疑いがあるというものでした。

調書の偽造ですので、当然、虚偽有印公文書作成、同行使罪で検察庁に送検。こちらも警部補には懲戒処分はなく、所属長訓戒。警部補は「安易な気持ちでやった」と話しているそうです。  


そんな記事に接していると、少なくとも、滋賀県では警察官の調書の改ざんは 軽微なものであれば、改ざんをした警察官は 虚偽有印公文書作成・同行使罪(刑法156条、158条1項)の被疑者として送致はされるものの、懲戒処分 が課されることはなく、所属長訓戒で済まされるのか、という思ってしまいます。

でも、そんなのありなのでしょうか。

    

愛知県の場合では「公務員の懲戒処分」を定め、処分基準と公表基準を定めていますが、滋賀県の場合は公表基準はあるようですが、元となる 懲戒処分の処分基準 の方はないようです(文部科学省の資料(「平成27年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」資料2-7)参照)。

  

そんなわけではないのでしょうが、処分基準が明確でないため 滋賀県警の場合では、警察官が調書偽造しても内部処分で済まされているのでしょうか。

    

愛知県の場合、警察職員の懲戒処分については、ほかの県職員とは違って、愛知県警察職員懲戒等取扱規程 という手続規定に従い、懲戒処分や所属長訓戒などの処分がなされていることになっているようです。

滋賀県の場合を調べてみると、「職員の懲戒の手続および効果に関する条例」という条例があり、同条例5条を受けた「職員の懲戒の手続および効果に関する規則」に基づいて、警察職員についても懲戒処分がされているようです。「任命権者」が懲戒処分を通知すると規定されているわけですが、滋賀県の警察職員の任命権者は 滋賀県警察本部長ということになります(「滋賀県 警察職員 任命権者 」でのグーグル検索結果参照)。

なので、警察職員懲戒等取扱規程など定めずとも、滋賀県警察本部長が警察職員に懲戒処分を課せばよいと言うわけです。


「任命権者」は 警察本部長 

                  


商工中金の不正融資 [感想]

小規模企業共済から契約者貸付を受けようと思い、昨年、商工中金の支店に行ったことがありました。

その支店に行ったのは10年振りぐらいではなかったかと思います。

行員の平均年齢が高く、男性が多いという感想を持っただけでなく、

店舗が古いということもあるのだと思いますが、何となく空気が澱んでいると感じました。

   

同じ政策金融機関でも、国民生活金融公庫を母体とする 日本政策金融公庫 の方は、 国金(コッキン)の際とは違って、お洒落になり、行員も若く、シャキとしているという印象なのですが、

商工中金の雰囲気が それと余りに違っているのに驚きでした。

例えて言えば、両者は、少し前の田舎の信金支店と、現在の都市部のメガバンク支店と言ったところでしょうか。  


「どうして商工中金も日本政策金融公庫に合流させないんだろう」

とその際、強く思いました。   

   

そんな商工中金に、通商産業大臣、財務大臣、金融庁長官から、業務改善命令が昨日9日に出されたということです(朝日新聞DIGITAL2017年5月9日(「商工中金に業務改善命令  政策金融で初  不正融資問題」)。   


融資実績を盛るため、組織的に、全社的に、書類の改ざん等をして不正な融資が行われていたことについてのものだということですが、     

消える運命をはね除けるため、不正をしたというだけなのでしょう。


商工中金の不正は、第三者委員会の発表では 35支店、816件の不正があったということです(日本経済新聞2017年4月25日「商工中金の不正融資、35支店816件  第三者委発表」)。

  

第三者委員会の調査報告書の「別紙 調査結果一覧表」(156頁の次)には 不正があった35支店の支店が掲載されていますが、その2頁目の名古屋支店の欄を見てみると、27口座で不正があった第三者委員会は判定しています(下に第三者委員会の調査報告書「別紙  調査一覧表の2頁目を引用させていただきます。)。

別紙調査結果一覧表抜粋.png



276件の池袋支店、239件の鹿児島支店は別格として、名古屋の27件は、28件の不正があった横浜に次ぐ不正の件数ということになります。

やはり澱んでいたということですか。   

    

MRIインターナショナル のその後 [感想]

「投資被害に遭うと どの程度の被害回収が可能なのだろう」ということについて雑談を同業者としました。          

MRIインターナショナル事件(2013年(平成25年)4月に発覚した、MARS債を顧客8,700人に販売し、1365億円の資金を集めた投資詐欺事件)について結成された MRI被害者弁護団 が存在しています。

その弁護団がいよいよ、今年(2017年)6月末で依頼受付を終了することになりました。

その話が発展しました。事件処理が一段落すれば、被害回復金を被害者へ配分することになります。

被害者への配分は どうなるんだろうね、と話が進んだわけです。    


弁護団のホームページでは、その点に関しては何も触れられていないため推測するしかありません。   

でも、このMRIインターナショル事件では、

2013年12月から3年半以上の期間にわたり、詳細な情報提供をされている、

「MRIインターナショル事件に見る『騙される人達』」とのタイトルで ブログ開設をされている方がいます。

内容が充実し、内容も正確なので、私もちょくちょく拝見し、参考にさせていただいていました。




米国での回収額は(SEC関係での回収分の) 上限40億円程度ではないかと予想をされています。

(ここから当然、実費と弁護士費用が控除された上で、配分されることになります。 

ブログ氏は弁護団に対して冷たい意見をお持ちのようですが、弁護団が存在しなかったのであれば、被害者救済を図ることはできないわけですから、MRI被害者弁護団は被害者救済のために十分役立っているものと私は考えております。)

    

MRIインターナショルは、タコ足配当をしていたわけですから、お金が消えてしまっているわけなので、その程度の回収しか出来ないのはやむを得ないだろうね、私と同業者とでは意見の一致を見ました。

怪しげな金融商品に手を出すと酷い目にあうということですか。


行政書士会の強制加入制度の廃止あるいは 一都道府県に二つ以上の行政書士会設置を認めること [感想]

第15回規制改革推進会議(平成29年4月14日開催)の議事次第を見ていたところ、

規制改革ホットライン の中に、

「55  行政書士会の強制加入制度の廃止あるいは一都道府県に二つ以上の行政書士会設置を求めること」 

という提案があるのを見つけました(「・投資等ワーキング・グループ関連の提案内容(PDF形式:188KB)」)。

    

Google で「規制改革会議」「強制加入」で キーワード検索してもこれしか出てきませんので、強制加入の士業に関しての提案としては初めてのものであるようです。
                         
      
提案された方は、提案の具体的内容等で、
    
「  現状、行政書士は事務所がある都道府県の行政書士会に加入しなければなりませんが、行政書士会が「困りごと解決」のような弁護士と誤認させるような依頼誘致を行ったり、ADRや成年貢献のような行政書士の資格が必要ない業務に予算を計上し行政書士会の予算で組織が運営されていたりします。
   
これらは、行政書士制度の本旨から外れたことであり、強制入会かつ会費の支払いを拒否すれば廃業を勧告するにもかかわらず、行政書士会が、行政書士の資格が必要ない憲法によって国民に保障された一個人の経済活動の自由の範疇にあたる業務について、行政書士から徴収した会費を支出するということは、「行政書士法に定められていない業務をやらない自由」を侵害するものであり、経済活動の自由、思想信条の自由を侵害している状況です。
   
東京都行政書士会の総会は、官公署への書類の作成・提出業務に支障をきたす平日に行われ、かつ代議員制を敷いているので、会員個人の意見が総会に反映されることはなく、かつ行政書士会の執行部が行政書士法を理解していないため、行政書士会内での「部分社会の法理」を適用すれば「行政書士会の強制加入制度の濫用」、「行政書士の名称使用の濫用」につながります。
   
現状、行政書士会は、行政書士法第15条2項に記されている目的を遂行していません。行政書士の制度設計を無視し、権利を濫用している行政書士会への強制加入は、行政書士会に定められた業務を行う上での参入規制であり、思想信条の自由、経済活動の自由を侵害するものであります。
   
都道府県知事の監督が必要ということであれば、業務の方向性が違う行政書士を一つの会にまとめることをせずに、一つの都道府県につき二つ以上の行政書士会の設置を求め、行政書士の経済活動の自由、思想信条の自由を保障すべきです。「行政書士法に定められた業務でない業務のための資金を出せ、出さなければ裁判を起こして廃業に追い込む」というやり方で行政書士会は運営されていますので、このような状況を続けるのであれば、行政書士会の強制入会制度を廃止するか、都道府県に2つ以上の行政書士会の設置を認めるべきです。  」
 

と述べられています。


合議率 10 % [感想]

地裁の民事の単独事件が 2件、合議での審理に変更となりました。

2件とも 「なぜなの」との違和感を持ちました。    

平成27年7月10日公表の「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第6回)」では、「合議体による審理の充実」が声高に述べられていますが、そのせいなのでしょうか。

 

「合議率」をキーワードにして、国会会議録検索システムで検索をしてみますと(検索期間は平成1年1月1日から)、

11件の記事録がヒットします。いずれも法務委員会の議事録です。 

 

何本かの議事録を斜め読みしてみると、

最高裁は、平成13 年4月16日付の「裁判所の人的体制の充実について(司法制度改革審議会からの照会に対する回答)」以降、

①  専門訴訟をはじめとする複雑訴訟に対応するため合議率を大幅アップする(現在の約2倍。約5%から10%へ)

 

②  判決までに平均20か月以上かかっていた 人証調べのある地裁民事訴訟の審理を1年以内に終了できるようにする

ことを、裁判官の増員の必要性の根拠としているようです。

 

それから15年経つわけですが、平成28年3月16日の衆議院法務委員会における中村愼最高裁判所長官代理者の答弁によれば、 

合議率は4.7%

人証のある対席判決の事件の審理期間は平均20.1ヶ月 

ということです。 裁判官の増員は何だったのでしょう。

 

判事の定員の年次推移は下表のとおり。平成13年は 1,390人だったのが、平成28年は 1,985人で 5割増です。

  データ訂正+20170127.jpg

 合議率だけでも嵩上げしたいという意向が、現場を突き動かしているのでしょうか。

 

 (判事補の定員が平成10年改正で20人増、同11年改正で30人増、同12年改正で70人増であったことを見落としていましたので 図を平成29年1月27日に差し替えました。)


保釈率10 年で倍増 [感想]

 保釈率が10年で倍増したということだそうです(朝日新聞DIGITAL 2016年9月5日「保釈率10年で倍増  司法改革背景  犯罪防止も課題」)。
     
 
記事では、
 
最高裁のまとめによると、 刑事事件の被告が一審の判決前に保釈された件数は昨年1年間で 1万4233件で、10年前の2005年より約3800件増え、勾留された被告人の25.7%が保釈され、10年前の 12.6 %から倍増した
 
と報じられています。
    
      
保釈の件数が10年前から3800件増えて、保釈率が12.6%から25.7%に 13.1%増えたということですが、勾留されている被告人の数に変動がなければ、
 
勾留されている被告人の総数は 2万9000人(≒3800人/13.1%)ということになります。でも、勾留されている被告人の人数がそれほど少ないわけがありません。
   
    
調べてみると朝日新聞デジタルの記事は、
   
 
中の、「本年中に勾留状を発付された被告人員」と「本年中に保釈を許可された人員」のデータを使っていることが分かりました。
 
司法統計の平成17年度から平成27年度までのデータを使って、勾留された被告人員と保釈を許可された被告人の比率(保釈率)について作表してみると、下表のようになります。
 
 
 
 勾留人員と保釈率.jpg
 
 
下表に勾留されている被告人員の年度別の人数を整理して作表してみましたが、8万2798人から 5万5440人へと 購入されている被告人の人数は、2万7000人、率にして 33.0% も減少しています。
   
勾留されている被告人の数が3分の2に減っているため、保釈の許可を受けた人が 3800人増えただけで、保釈率が25.7%へと跳ね上がっています。 
 
 
勾留されている被告人が一貫して減少していますが なぜなのでしょうか。    
    
勾留人員(H17-27).jpg 
 
 保釈人員と保釈率(H17-27).jpg


保全事件も実は激減している [感想]

金融法務事情2044号(2016年6月25日号)に、東京地裁と大阪地裁における平成27年度の民事保全事件の概況が掲載されていました(同号「平成27年度の東京地方裁判所民事第9部における民事保全事件の概況」、「平成27年度の大阪地方裁判所第1民事部における民事保全事件の概況」)。

インターネット関連の仮処分事件の新受件数が、大阪地裁では平成27年度 29件(平成26年度27)という状況にあるようですが、東京地裁では平成27年度 680件(平成26年度 607件)ということとなっているということです。

東京地裁では インターネット関連の仮処分事件が、仮処分事件全体に占める割合が 64.9% となっていて、激増中でもあるということか チェックしておくべきことであるようです。

 

ところで、保全事件全般の状況はどうなのでしょう。 

下表は記事中に載っている、東京地裁と大阪地裁の 平成23年(2011年)から平成27年(2015年)までの、仮差押と仮処分の新受件数を整理し、グラフ化したものとなります。  

東京と大阪について言えば、ここ5年ほどの間における民事保全数は 微減ないし多少減少といったところでしょうか。     

 

東京.jpg 

 大阪.jpg

 

こうなると全国的には どのような状況にあるのかが知りたくなりました。

裁判所のホームページで閲覧可能な、平成12年度平成16年平成26年度の各年度の「司法統計 民事・行政事件編」の「第1-2表 事件の種類と新受件数の推移」から、地裁と簡裁の「民事保全命令」事件の件数を拾い、作表した結果が下の表ですが、 

ここ20年余りの間に、3分の1に減少していることが分かります。

 

 保全命令事件の新受件数(地裁・簡栽).jpg

 データ.jpg

 

司法制度改革 の進展と、保全事件の減少は軌を一にしているように見受けられます。

15年前に 「2割司法」などと 言われていましたが、今は 何割 なのでしょう。