花博記念協会 (3) 「専務理事の退職手当」 [はてな?]
5月14日の産経ニュース(「松井大阪府知事『ようやく天下り団体が一つなくなる』 花博協会専務理事辞職し後任公募」)で知りましたが、
「国際花と緑の博覧会記念協会」(花博記念協会)の日尾野興一専務理事(農林水産省出身)が6月末で辞職し、同協会が後任を公募することになった、ということです。
記事によると、松井一郎大阪府知事は、記者団に「ようやく国からの天下り団体が一つなくなる」と述べるとともに、
日尾野専務理事の退職金として、22年度までの516万円に23年度分を加えた額が支払われることに対して、「私たちも(退職金を)大幅にカットしているので、専務理事もそれでいいのではないか」とし、削減を求める意向を示した。
との専務理事の退職金に関し考えを示されたということです。
ところで、本題ですが、この産経ニュースの記事が正しいとすると、「516万円は、日尾野専務理事の平成22年分までの退職金の総額」ということになります。
私は、 今月2日のブログ(「 花博記念協会 (2) 『専務理事の言い草』 」)で、「516万円は、日尾野専務理事の平成22年分の退職金」で、「専務理事は花博記念協会を退職する際には 500万円×勤続年数の退職金を受け取る」ことになるなどとの内容のことを書いております。
私は、一次情報である、花博記念協会の「平成22年事業報告書兼財務諸表等」で、516万円が専務理事の平成22年分の役員退職引当金であることを確認した上で、ブログを書いていました。
そのため、松井知事が「おかしなことを言っているなぁ」と思っていました。
そうしましたところ、昨日、「太郎さん」から、2日の「 花博記念協会 (2) 『専務理事の言い草』 」にコメントをいただきました。
コメントは、
「協会退職時には、500万円×勤続年数分の退職金を、(退職所得控除のおかげで、余り税金を支払うことなく、)」は、誤り。516万円は、就任した時から22年度末までの合計額です。まともな弁護士だったら、記述は正確にしてください。
by 太郎(2012-05-15 19:22)
というもので、産経ニュースの「516万円は日尾野専務理事の平成22年分までの退職金の額」との松井知事の発言が正しいという前提で、私のブログが誤っているとのお叱りの内容のものでした。
私としては、「516万円が日尾野専務理事の平成22年分だけの退職金」の額であることに自信を持っています。
知事がうっかり誤ったことを言ったのか、記事が間違ったことを書いたか、のどちらかだろうぐらいにしか思っていません。
でも、産経ニュースを読んだ多くの方が誤解したままとなっていてはいけません。
また、私のブログの評判にも影響をすることになります。
そのため、差し出がましいことだとは思いますが、私なりの説明をさせていただくことにいたしました。
では、説明です。
まず、花博記念協会の「平成22年事業報告書兼財務諸表等」の「Ⅱ 財務諸表 平成22年度 自平成22年4月1日至平成23年3月31日」、「1. 一般会計」の「財務諸表の注記」の「1 重要な会計方針 ⑶ 引当金の計上時期」では、下表にも引用しましたが、
退職給付引当金
役員及び職員の退職金の支給に備えるため、役員及び職員の退職手当支給規程に基づき期末要支給額を計上している。
役員分は5,397,500円である。
と記述されています(31頁)。
この記述から、花博記念協会では、
- 役員に関する退職金支給規程が存在すること
- 役員退職金の金額を事業年度ごと合理的に見積もることができること
と理解をしていることが分かるかと思います。
ところで、「役員分の退職給付引当金5,397,500円」ですが、これは平成22年の「役員報酬等の支給額について」において、退職手当金の額が書かれている
理事長 237,500円
専務理事 5,160,000円
の2人の退職手当金の合計額ということになります(237,500円+5,160,000円=5,397,500円)。
次に公益法人会計について述べます。
公益法人における退職金引当金計上については、日本公認会計士協会が作成している「公益法人会計基準に関する実務指針(その2)」 (制定平成18年4月13日 改正平成20年10月7日)では、役員退職慰労引当金について、
公益法人会計においても効率性の把握を行うために、支給が内規等に基づいて算定され、発生の可能性が高く、金額を合理的に見積もることができる場合には、
当期に属する見積額を当期の費用として引当計上する必要がある。
とし(10頁)、一定の場合には、役員退職慰労引当金を(当該事業年度の)費用として計上しなさいとしています。
そして、費用計上する場合における「財務諸表に関する注記」に関しても、
〈注記例〉
役員退職慰労引当金の計上基準は、重要な会計方針として財務諸表に注記する必要がある。注記例を示すと次のとおりである。
1. 重要な会計方針
(4) 引当金の計上基準
・ 役員退職慰労引当金
役員の退職慰労金の支給に備えるため、内規に基づく期末要支給額を計上している。
としています(同11頁)。
花博記念協会の「平成22年事業報告書兼財務諸表等」の「Ⅱ 財務諸表 平成22年度 自平成22年4月1日至平成23年3月31日」、「1. 一般会計」の「財務諸表の注記」における「退職給付引当金」に関する
退職給付引当金
役員及び職員の退職金の支給に備えるため、役員及び職員の退職手当支給規程に基づき期末要支給額を計上している。
役員分は5,397,500円である。
との記述は、「公益法人会計基準に関する実務指針」からの要請で注記されていることになります。
その注記の意味としては、
花博記念協会では、平成22年度の事業年度に、役員の退職給付引当金として5,397,500円を費用として計上しました
ということを表していることになります。
この役員の退職給付引当金5,397,500円は、前述しました、理事長の237,500円と、専務理事の5,160,000円の合計額ということになります。
説明は以上です。
私のこの理解が正しいのであれば、
花博記念協会が、日尾野専務理事の退職手当として引き当てた516万円は、平成22年度だけのもので、平成20年度分と21年度分は含んでいない
ということになります。
産経ニュースでは、松井大阪府知事が、「日尾野専務理事の退職金として、22年度までの516万円に23年度分を加えた額が支払われることに対して、『私たちも(退職金を)大幅にカットしているので、専務理事もそれでいいのではないか』とし、削減を求める意向を示した」ということですが、 なぜ、松井知事は『22年度までの退職金が516万円』という誤ったことを言ったんでしょうね。不思議です。
もし、私のブログを見ている記者さんがお見えでしたら、松井知事に、ぜひ、ご確認していただけたならと思っています。
よろしくお願いしますね。
『就活失敗で自殺急増』はウソ (2) [検討]
(前回の続き)
そんなことあるわけがありません、
警察庁が発見できなかった「就職活動の失敗による自殺が激増している事実」を、読売新聞の記者が統計分析をして大発見した」なんてこと。
読売の「就職活動の失敗による自殺が激増している」という記事が、記者の思い込みに過ぎないだけのことです。
下表は、平成19年(2007年)以降の10~20歳代の自殺者数と、10~20歳代の自殺者のうち、就職失敗を原因として自殺をした者の数と、その割合を整理した表です。
読売の「就活失敗し自殺 増加 10~20歳代 4年で2.5倍に」との記事は、10~20歳代の自殺者のうち、就職失敗を原因として自殺をした者の数が平成19年(2007年)に60人だったのが、平成23年(2011年)に150人になっていることを捉えたもので、下図でも確認できます。
150人÷60人=2.5ですので、「就活失敗し自殺 増加 10~20歳代 4年で2.5倍に」は、それ部分だけを切り取れば、間違いではなく、「正しい」ということになります。
でも、10~20歳代の自殺者のうち、就職失敗を原因として自殺をした者の数と割合が、平成19年(2007年)は 60人で 1.7%、20年(2008年)が 91人で 2.3%、21年(2009)年が 130人で 3.1%、22年(2010年)が 159人で4.1%、23年(2011年)が 150人で 3.9% という数と割合ということになります
60人と150人との対比では、2.5倍になるかも知れませんが、率で比べれば、1.7%だったのが、4.1%になったというだけのことです。
10~20歳代の自殺者のうち、就職失敗を原因に自殺をする人は、増えていると言っても、25人に1人いるか、いないかということになります。
少なかったものが、少し増えたからといって、「就職失敗による自殺が急増している」と判断なんかできる訳ありません。
それを、60人と150人を対比させて、「就職失敗による自殺した者の割合が激増している」かのような記事を書くとは、読売新聞の記者は、どういう了見なんでしょうか。
ところで、読売新聞のように、「10~20歳代の自殺者」を対象とした場合には、
大学の新卒者のほか、フリーターの人、再就職者、あるいは、無職者などをも含んでしまうことになります。
そこで、どうせ、記事にするのなら、自殺者を「大学生」に絞って、「就職失敗による大学生の自殺」という内容で記事にした方が、もっと、インパクトの強い記事になると言えます。
警察庁の資料は、大学生の自殺者数についても揃っています(「平成23年中における自殺の状況 」、「平成22年中における自殺の概要資料」、「平成21年中における自殺の概要資料」、「平成20年中における自殺の概要資料」、「平成19年中における自殺の概要資料」)。
したがって、資料がから記事と出来ないわけではありません。
下表は、警察庁の資料を用いて、平成17年(2007年)以降の大学生の自殺者総数と、大学生の自殺者のうち、就職失敗を原因とした自殺者の実数と、その割合を表にしたもので、その下の図は、大学生の自殺者のうち、就職失敗を原因とした自殺者の割合をグラフにしたものです。
大学生の自殺者のうち、就職失敗を理由とした人の割合は、平成19年(2007年)の 3.1% から平成22年(2010年)の 8.8% に上昇しています。
増加率は、2.8倍です。
10~20歳代の就職失敗を原因とした自殺の2.5倍よりは高くなっています。
「自殺した大学生のうち、12人に1人が、就職失敗を苦にして自殺 ! ! 」とったタイトルの記事が書けそうです。
思うに、読売新聞の記者も同じことを多分考えたことでしょう。
でも、即座に、そんな記事を書けば、きっと、ボツになってしまうことも容易に理解も出来たはずです。
記事中に、、「大学生の自殺者が年間4~500人で、その内、就職失敗で自殺する大学生の数が数十人である」とのデータを入れ込まないといけませんが、
そんなことをすれば、多くの読者に「記事の内容が、こじつけではないか?」と思われてしまうからです。
「500件中、20件を占めていたものが、45件となったとして、それを一つの理由で説明できるというのは強引ではないのか?」、「もともとのサンプルが少なすぎるから、そんな判断は出来ないのでないか? 」と言われてしまいそうです。
そこで、範囲を「大学生」から「10~20歳代」に広げることによって、
自殺者自体の数も、そのうちの就職失敗によって自殺した人の数も増やし、
ぱっと見には、こじつけだとは気付かれることがない、もっともらしい記事の体裁にしました。
それが、読売新聞の8日の記事なのではないかと思います。
『就活失敗で自殺急増』はウソ (1) [検討]
東京新聞の14日朝刊の「就活失敗で自殺増加 30歳未満 昨年150人」では、
就職がうまくいかないことを苦に自殺した30歳未満の若者は、2011年に全国で150人に達したことが、警察庁の調査で分かった。10年(159人)から2年連続で年間150人以上となり、現行の調査を始めた07年の2.5倍に急増している。
警察庁は遺書や遺族の聞き取りなどから、就職の失敗が動機とみられる自殺数を調査。30歳未満の150人のうち男性が126人と8割強を占め、女性は24人だった。52人が学生で、このうち大学生が41人を占め、高校生も4人いた。
就職失敗が原因で自殺した若者は07年に60人、08年に91人だったが、リーマン・ショックの影響で就職難だった09年に130人に急増し、その後も高止まりしている。
と報じていました。
私は「既に読んだような記事では」とのデジャヴ感を持ちました。
私の記憶は正しく、ニュース検索をしてみたところ、先週8日に読売新聞が夕刊が、
就職活動の失敗を苦に自殺する10~20歳代の若者が、急増している。2007年から自殺原因を分析する警察庁によると、昨年は大学生など150人が就活の悩みで自殺しており、07年の2.5倍に増えた。
警察庁は、06年の自殺対策基本法施行を受け、翌07年から自殺者の原因を遺書や生前のメモなどから詳しく分析。10~20歳代の自殺者で就活が原因と見なされたケースは、07年は60人だったが、08年には91人に急増。毎年、男性が8~9割を占め、昨年は、特に学生が52人と07年の3.2倍に増えた。
と報じていることが分かりました(「就活失敗し自殺 10~20歳代 4年で2.5倍に 警察庁分析」)。
東京新聞の記事は、表現を巧妙に変えたりしていますが、内容は読売の記事のパクりです。
でも、「読売のパクリでしょう」と指摘しても、東京新聞は、
「8日の読売新聞の記事をパクッたわけではありません。警察庁が提供している同じ資料を、東京新聞が独自に分析したら、たまたま、読売の記事と同じ論調の記事になっただけです」
と言い逃れを言うのでしょうが。
ところで、そんなことはどうでもよく、
私が指摘したいことは、読売の「就活の失敗による自殺が激増しているという分析結果はウソだ」ということです。
8日の記事に至る経過ですが、読売新聞の元ネタは、警察庁が約2ケ月前の3月9日に公表した「平成23年中における自殺の状況」と「付録」です。
読売新聞は、警察庁が「平成23年中の自殺の状況」を発表した3月9日の際に
「学生・生徒」が前年より101人(10.9%)増の1029人に上ったのが特徴で、統計を取り始めた1978年以降、初めて1000人を超えた。
「学生・生徒」は、大学生529人(前年比16人増)と高校生269人(同65人増)で8割弱を占めた。年代別でも19歳以下622人(同12.7%増)、20歳代3304人(同2%増)でいずれも増えた。
動機は「学業不振」(140人)や「進路の悩み」(136人)が多かった。
という記事(「自殺 『学生・生徒』 1029人 就職・友人関係に悩み 大学など懸命防止策」」)を報じています。
この読売の3月9日の記事では、「就職がうまくいかないことを苦に自殺した10~20台の若者が急増していて、2011年では全国で150人が自殺している」など等については全く触れられていません。
これは、警察記者クラブの警察庁の担当者が、「平成23年中の自殺の状況」についての発表と説明をした際に、
「就職活動の失敗で自殺をする者が増えていて、一昨年(2010年)は159人が、昨年(2011年)は150人が自殺している」
との点について触れなかったからだと思われます。
そのことは、「平成23年中における自殺の状況」には、それらしいことが何も書かれていないことからも、裏付けられると思います。
このことは、3月9日の産経新聞の記事(「昨年自殺者、5月急増 震災影響か 19歳以下、12%増」)も、就職活動の失敗による自殺について何も触れていないことも論拠となろうかと思います。
このような考察から、5月8日の読売新聞の記事は、警察庁の3月9日の発表をそのまま記事にしたものではなく、警察庁が既に発表している自殺の状況に関する平成19年から同22年までの間の統計資料を記者が分析して記事にしたものだと考えることができます。
そういう観点から、この読売新聞の記事を評価するならば、記者の独自取材により、「就活失敗し自殺 10~20歳代 4年で2.5倍に」という事実を発掘し、5月8日の報道に繋げたということになるのでしょう。
そういう点では、記事を書いた記者は努力したと評価してあげることができるでしょう。
でも、「就職活動の失敗による自殺が激増している」ことに、読売の記者だけが気付き、警察庁は気付かなかったのでしょうか?
一時払い終身保険、トラブル急増? [はてな?]
5月8日の日経に、『一時払い終身保険、解約トラブル急増 預金と混同 高齢者ら、銀行勧誘で』という記事が掲載されました。記事は、
銀行の窓口で販売され、契約時に保険料を一括して払う「一時払い終身保険」のトラブルを巡る相談が急増している。国民生活センターへの相談件数は2009年に比べ、昨年度は約4倍。中途解約では「元本保証」されないケースが多く、定期預金と混同して契約する高齢者が目立つ。背景には銀行の窓口で気軽に契約できることがあるとみられ、同センターは注意を呼びかける。
というもので、ニュースソースは国民生活センターが先月19日に発表した「銀行窓口で勧誘された一時払い終身保険に関するトラブル -高齢者への不適切な勧誘が急増中- 」です。
毎日は先月19日に「国民生活センター:銀行の終身保険、トラブル急増」という記事を配信していたようです。
下図は一時払い終身保険の相談件数を年度ごとに整理をしたものです。
07年以降、件数は3 → 7 → 21 → 42 →99 と伸びていることは間違いないのですが、件数は、日本全国での一年間で相談件数の相談件数です。
私などは、たった年間に42件や、99件しか相談件数がないというのは、むしろあまりトラブルがないということのように思ってしまうのですが… 。
『急増』と言って不安を煽っているとしか思えないのですが、
国民生活センターは、早期に国民への注意を喚起したのだと言われるのでしょう、多分。
国民生活センターの資料によると、2005年12月22日以降に相談があった相談者は総数が187人。
相談者の年代別分布は、80 歳以上73 件(39.2%)、70 歳代が68 件(36.6%)、60 歳代が28 件(15.1%)ということで、大部分が高齢者だということだそうです(資料8頁参照)。
「一時払い終身保険という保険商品でトラブルが発生している」という捉え方ではなく、
「銀行の高齢者に対する窓口販売の仕方に問題があり、そのためトラブルが発生している」と捉えられるべき問題ではないのかと私は考えます。
国民生活センターは2009年7月22日に「個人年金保険の銀行窓口販売に関するトラブル-高齢者を中心に相談が倍増-」という発表をしています。
今回の発表では、国民生活センターは保険の銀行窓口販売に関する相談者の年齢構成がどうなっているかを公表していません。
よもや、「保険の銀行窓口販売に関する高齢者の相談は、余り増えてもいないけれども、『一時払い終身保険』の解約の相談は増えているので、新鮮味を出すために、『一時払い終身保険の解約急増」という内容で公表した」というわけではないですよね。
指定代理人の控訴 [検討]
小沢裁判では、検察官役の指定弁護士が第一審の無罪判決に対し控訴することになりました。
NHKのNEWSweb「小沢氏裁判 指定弁護士が控訴決定」によりますと、
強制起訴の裁判では、小沢元代表の裁判も含め、2件の判決が言い渡され、いずれも無罪となりました。
最初に判決が言い渡された沖縄の詐欺事件について、この裁判を担当した検察官役の指定弁護士は、「判決に誤りがある」として控訴しており、無罪が言い渡された2件の裁判で、指定弁護士がいずれも控訴を決めたことになります。
ということだそうです。
検察審査会法では、指定弁護士が起訴した事件が第一審で無罪だった場合、指定弁護士が控訴を提起すべきか等、指定弁護士がどうすべきかを定めた規定は一切ありません(「検察審査会法第7章 起訴議決に基づく公訴の提起等」参照)。
そのため、控訴するかどうかは、指定弁護士にお任せということになります。
では、指定弁護士は、控訴するか、しないかをどう判断すればいいのでしょうか。
一般論として言えるのは、「起訴議決に係る事件について公訴の提起及びその維持」(検察審査会法第41条の9第1項)を職責とする指定弁護士として、
控訴するのと、しないのと、どちらが指定代理人としての職責を果たすことになるか自問して決めるということになるのでしょう。
ところで、指定弁護士が登場するのは、検察が不起訴とした事件を、市民11人により構成される「検察審査会」が2度、起訴すべきであると議決した場合のことです。
指定弁護士は、「民意が、被疑者を起訴して刑事罰を受けさせろと要求したからこそ、存在する」と言えます。
もし、運悪く、指定弁護士が第一審で無罪判決を受け、被疑者に刑事罰を受けさせることができなかった場合、「被疑者を起訴して刑事罰を受けさせろ」という民意を満足させるためには控訴をするという方法をとるしかありません。
強制起訴制度を含め、検察審査会制度は、検察官が独占している公訴権行使に民意を反映させて、その適正は図る制度であるというわけですが(裁判所のホームページの「検察審査会制度Q&A 」参照)、
その民意の正当性などは、問題にしていません。
こんな制度が、強制起訴制度だという理解の下、
第一審で無罪判決を受けた指定弁護士が、民意を最大限に満足させるには、
控訴する
以外の行動は考えられないと思います。
自分が指定弁護士であったとして、どうすべきかと考えてみると、よく理解いただけるのではないかと思います。
(なお、図は、ハイスクールタイムス「刑事司法への市民参加では『検察審査会』は「裁判員制度」の先輩格の記事から引用させていただいたものです。)
コンプガチャの景表法による規制 [検討]
ゴールデンウィーク中の5月5日、「携帯電話で遊べる『グリー』や『モバゲー』などのソーシャルゲームの高額課金問題をめぐり、消費者庁は、特定のカードをそろえると希少アイテムが当たる『コンプリート(コンプ)ガチャ』と呼ばれる商法について景品表示法で禁じる懸賞に当たると判断、近く見解を公表する」とする読売新聞の記事が配信されました(「コンプガチャは違法懸賞、消費者庁が中止要請へ」)。
ソーシャルゲームは、アイテムの換金や、ゲーム中毒と過消費などで、社会問題化し(週間ダイヤモンド3月26日「当局がグリーに重大な関心正念場迎えるソーシャルゲーム 」)、早晩、当局の規制が入るであろうと予測されてはいたと推測できたところです。
その流れからして、読売新聞の記事は、来るべきものが来たのかという記事だと言えます。
でも、「消費者庁」が「景品表示法」で規制する記事の部分に、私は混乱しました。
ソーシャルゲームの規制については、身近にある雑誌などを見ても、
週間東洋経済(4/28-5/5【合併特大号】)の記事(「ゲーム課金に自主規制グリー、DeNAの苦渋」)では、
「ゲームの程度によって、射幸性が看過できないほど高いと認められる場合は、今後、刑法の賭博罪や風営法などの適用が検討される可能性がある」(ネットゲームの法規制に詳しい堀天子弁護士)、
別冊宝島「誰も掛けなかったネットビジネス13兆円の危険な錬金術」の桜田徹氏の記事「無法カジノと化したソーシャルゲーム」でも、風営法の規制を警察が模索し始めたという論調、
というものばかりです。
私はソーシャルゲームの規制は、当然、刑法か、風営法を根拠としたものになるのだろうと思っていました。
そうしたところ、読売の記事では「景表法」となっており、???です。
私が記憶する限りでは、ソーシャルゲームを規制する法律として、『景品表示法』ないし『景表法』の名前が挙がっていた記事など見た記憶はありません。
確認のため、「ソーシャルゲーム」、「景品表示法」をキーワードにして、期間を平成24年5月4日までにして、新聞横断検索をしてみましたが、やはり、ヒットする記事は、やはり一つも見つかりませんでした。
やはり、読売新聞の「消費者庁が景表法で規制」の記事は、唐突かつ不自然です。
そうしたところ、ロケット24というサイトで昨日(5月7日)付の【コンプガチャ問題】消費者庁が報道内容を否定! 「コンプガチャ等の絵合わせの違法性を検討してる段階」という記事を見つけました。
同様に、携帯watchというサイトで「消費者庁が報道否定――SNSのコンプガチャ問題 」という署名記事もありました。
これらの記事を読む限り、消費者庁としてはソーシャルゲームに対する景表法による規制は、法令適用上の解釈の点を含めて、検討中の域を出ないようです。
結局、「コンプガチャは違法懸賞、消費者庁が中止要請へ」は、読売新聞の消費者庁記者クラブ詰めの上原という記者が、飛ばした誤報だという可能性が極めて高そうです。
グリーとDeNAは、昨日、ストップ安だったようですが、やはり、新聞の影響力はすごいですね。
ネット流出した捜査報告書(続き) [検討]
ネットに流出した6通の捜査報告書が、偽物だと報道は全くありません。
流出した捜査報告書は本物だということなのでしょう。
捜査報告書に関する記事を、読売が出しました( 「起訴誘導?陸山会捜査報告、特捜部長が大幅加筆」)。
内容は、田代検事が捜査報告書を作成した平成22年5月当時に、
東京地検特捜部長だった佐久間達哉検事(55)が、同部副部長が作成した別の捜査報告書について、政治資金規正法違反に問われた小沢一郎民主党元代表(69)(1審無罪)の関与を強く疑わせる部分にアンダーラインを引くなど大幅に加筆していたことが分かった
というものです。
検察当局は、当時の特捜部などに同審査会を起訴議決に誘導する意図があったかどうか慎重に調べている。
としていますので、佐久間特捜部長が、捜査報告書に加筆した事実は間違いないことなのでしよう。
記事は、
関係者によると、報告書は全部で約20ページあり、政治資金収支報告書の虚偽記入について、
元代表と石川被告らの共謀を肯定する要素と否定する要素の両論が併記されている。
当時の副部長が特捜部長だった佐久間検事宛てに作成したが、
佐久間検事は自ら、田代検事が作成した報告書の虚偽記載部分にアンダーラインを引いたり、供述内容を書き加えたりした という。
としていますが、何か変です。
読売が言う「当時の副部長」とは、誰のことを言っているのかが分かりません
下図は、ネット流出した捜査報告書は計6通を、作成日順に、並べたものです。
田代検事の直接の上司であった木村匡良主任が作成した捜査報告書は計4通。
でも、その4通の捜査報告書は、いずれも3~8頁のものです。、アンダーラインが引かれている捜査報告書は3通ありますが、5頁、3頁と8頁のもので、これら3通の捜査報告書の頁数を足しても16頁にしかなりません。
読売のいう「当時の副部長」とは、木村匡良検事が第一本命だと思われますが、木村検事は「約20頁あ」る報告書は作成していません。
また、アンダーラインが引かれている、木村検事作成の捜査報告書3通には、「田代検事が作成した報告書の虚偽記載部分に、‥ 供述内容を書き加えたりし」た部分はありません。
では、私が勘違いをしていただけで、読売の記事の言う「当時の副部長」とは、残った、斎藤隆博副検事のことなのでしょうか。
斎藤検事が作成した捜査報告書は1通。頁数は21頁で、報告書にはアンダーラインも引かれています。
しかし、斎藤検事が作成した捜査報告書には「 田代検事が作成した報告書の虚偽記載部分にアンダーラインを引いたり、供述内容を書き加えたりし」ていません。
読売の記事の取材源は『関係者』。
この『関係者』からの取材では、『関係者』の発言が、流出している捜査報告書6通の体裁ないし記述とは合致していないことを、記者は指摘しなかったということなのでしょうか。
この読売の記事も、「スピン・コントロール(情報捜査)」された記事なのでしょうか。
なお、田代検事の虚偽報告書が作成された平成22年5月当時、東京地検特捜部の体制では、田代政弘検事、木村匡良主任検事、吉田正喜副部長、佐久間達哉特捜部長、大鶴基成次席検事という体制だったと言われていました。
斎藤隆博検事とは「何者?」という疑問を持たれた方もお見えでしょう。
この斎藤検事ですが、ゲンダイネットの昨年9月20日の記事(「仰天 敗色濃厚の検察、関わった検事はみんな消えてしまった」によりますと、
斎藤隆博検事は、東京地検特捜部の副部長である方で、一昨年(平成22年)の9月に、検察審査会が『起訴議決』を出す前に義務付けられている検察官の意見聴取に出席して、意見を述べられた方だということです。
その意見聴取の際、斎藤検事は、検察審査会の審査員に対し、「犯罪の謀議に加われば、共犯に問われる『共謀共同正犯』の成立条件を説明
1958年の最高裁判例を持ち出して1時間以上、ド素人の審査員に“講義”を続け、強制起訴に導いた張本人」
と言われている人物だということだそうです。
なるほど、そういうことで、斎藤副部長は、まとめの捜査報告書1通を作成していたわけですね。
虚偽捜査報告書ネット流出 [速報]
今朝の産経ニュースで「陸山会事件 虚偽捜査報告書ネット流出 原本複写?7通閲覧可能」というニュースが流れています。内容は、
資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、小沢一郎民主党元代表(69)の元秘書、石川知裕衆院議員(38)を取り調べた元東京地検特捜部の田代政弘検事(45)が虚偽の捜査報告書を作成した問題に絡み、この捜査報告書とみられる文書などがインターネット上に掲載されていることが4日、分かった。
検事の署名と捺(なつ)印(いん)が確認できることから原本を複写したものとみられ、何者かが意図的に流出させた可能性がある。
掲載された文書は、(1)平成22年5月17日に田代検事が行った石川議員の再聴取で虚偽の内容を記した捜査報告書(1通) (2)再聴取のやりとりを文字に書き起こした反訳書(1通) (3)当時の特捜部副部長ら上司が作成した証拠評価などの捜査報告書(5通)-の計7通で約160ページ分。
(3)の文書には捜査内容をまとめたとみられるチャートも添付されていた。一連の文書は4日の時点で、ロシア語のサイトからダウンロードすることが可能な状態だ。
というものです。
「この一連の文書」は、八木啓代さんのブログ(「八木啓代のひとりごと」)から、ロシア語のサイトに辿って行けば、現時点でもダウンロードできます。
産経ニュースでは、
計6通の捜査報告書は、裁判の過程で検察官役の指定弁護士を通じ、弁護側に開示されている。反訳書は、取り調べを隠し録音したデータをもとにして石川議員側が作成し、小沢元代表の公判にも証拠として提出されていた。
と報じ、さも、小沢の弁護人から流出したかのような表現をとっています。
しかし、有田芳生参院議員によれば、これらの資料は全て、3月22日の参議院法務委員会においてで配付済のものであったということだそうです。
この有田議員とのやりとりについては、八木啓代さんの5月3日のブログでも触れられています。
産経の記者は、八木啓代さんのブログからしか、「ロシア語のサイト」のこは知りようがなかったわけで、当然、八木さんのブログを確認しているはずです。
八木さんのブログでは、参議院法務委員会で捜査報告書が3月22日に配付されたことを有田議員を通じて確認しているという内容のブログが5月3日に記されています。
産経の記者は、捜査報告書の流出ルートが、議員である可能性があることを当然、知っていたはずです。
それなのに、そのことには全く触れずに、さも、弁護人から流出したかのような記事を書くのは、どういうつもりなのでしょうか?
(なお、産経ニュースは、上記記事と同時刻頃(5日午前8時15分頃)、「“犯人捜し”難しく 虚偽捜査報告書流出」という記事も流しています。
こちらでは、指定弁護士、弁護側とも流出を否定するコメントを出しており、司法関係者の話として「捜査報告書が一部メディアや国会議員らも入手している形跡がある」ことも触れられています。
その上で、流出先の特定は困難であろうと記事を締めくくっています。)
露骨なスピン報道(マスコミの世論誘導) はやめていただきたいです。
ドライブレコーダー [豆知識]
ドライブレコーダーは、カメラ一体型なら、ちゃんとした性能のものが、2万円も出せば買えるんですね。
知りませんでした。
価格com.で一番人気のユピテル製の「ドラカメDRY-R3」は、最安値が16,392円。
トヨタ純正のカメラ一体型ドライブレコーダーでも定価は25,200円(但、ナビ一体型は28,350円)。
他方、カメラ一体型ではないカメラと本体が別のものだと、
トヨタ純正のもので、取付費別で、52,500円(但、ナビ一体型は55,650円)ですが、他社の高いものでも、このトヨタ純正と同じ位で、本体は5万円程度のようです。
ドライブレコーダーは相当、安くなっているんですね。
そのため、我が家でも「次は、(ドライブレーダーを)付けよう」という話をしていました。
ドライブレコーダーは、タクシーやトラックなどの業務用車両ですと、相当、装着が進んで来ているようです。
私もドライブレコーダーを装着しているタクシーに乗車したことが、何度かあります。
でも、業務用車両以外については、ドライブレコーダーの装着は、あまり進んでいないようです。
国交省も警察庁も、ドライブレコーダーの活用が事故防止に効果があると、ドライブレコーダーの効用をうたっているのに(例えば、警察庁のホームページの「ドライブレコーダーの活用について」参照)、普及が遅々として進まないのはどういうことなのでしょうか。
保険料が優遇されれば、急速に普及するのではないかという意見もあるようですが、優遇措置の実施は、何時になることなることやらという状況にあります。
誰か、ドライブレコーダーの普及に反対している人でもいるのでしょうか。
ところで、ドライブレコーダーのことを『ドラレコ』と、略称で呼ばれていることをご存じでしたか(国土交通省・自動車総合安全情報「ドラレコの概要」)。
私は知りませんでしたが、ありきたりな略称ですね。
でも、使える機会があれば、「ドラレコ」という略称を使ってみようと思っています。
「ドラレコ」という用語を知っている人は、私のことを「何者?」と、良いように誤解してくれ、一目置いてくれるかも知れないからです。
なんてね。
『テルマエ・ロマエ』 [旬の話題]
今日は、家族4人で、109シネマズ名古屋に、「テルマエ・ロマエ」の映画を見に行ってきました。
映画は大好評のようで、私たちが見た次回も、次々回も、切符は売り切れでした。
家族連れが多い気がしました。
ウチと同じで、「ゴールデンウィークとは言え、旅行には行けないので、映画でも」という家族が多いのかも知れません
「テルマエ・ロマエ」の映画では、日本人の阿部寛や、市川正親らが、ローマ人を演じるということだったので、「大丈夫なんだろうか」と不安な気持ちでしたが、
阿部らが演ずるローマ人には、さほど違和感は感じませんでした。
映画は、ヤマザキマリ原作の同名の漫画を映画化したものですが、漫画の雰囲気を、映画はそれなりにキープしていたんではないかと思います。
漫画は4巻まで出ています。第1巻を最初に読んだとき、「こんな発想の漫画を書ける人がいるのか」と唸りました。
漫画をお読みになられていない方であれば、「お読みになられても損はない」とおもいます。お薦めです。
この「テルマエ・ロマエ」の舞台は、5賢帝の1人のハドリアヌス帝の時代です。
ハドリアスヌス帝は、世界遺産にもなっているブリタニア(イギリス)の「ハドリアヌスの城壁」が有名ですが、帝位は西暦117年から138年でした。
4月初旬に、 ローズマリ サトクリフ原作の同名の本を映画化した「第九軍団のワシ」という映画を見ました。
映画は、紀元117年にハドリアヌスの城壁の北でローマの第9軍団の5000人が消えてしまったことをモチーフにした話なのですが、
「テルマエ・ロマエ」の漫画を読んでいるときも、「第九軍団のワシ」の映画を見ているときも、大事なことに気付きませんでした。
何に気付かなかったかと言いますと…。
「テルマエ」では、ハドリアヌス帝の後継者であったルキウスの死亡が漫画(3巻だったかな?)に描かれていますが、ルキウスの死亡は紀元138年1月ということになります。
次に、「第九軍団のワシ」では、第9軍団の5000人が紀元117年に失踪してから20年のお話という設定ですから、紀元137から翌年の138年のことが描かれていることになります。
したがって、「テルマエ」も「第九軍団のワシ」も、紀元137-8年ころのことを描写したお話になるんですね。
気付きませんでした。



















